そんなアワビに値上げの波が押し寄せ、「超高級食材」になろうとしている。
今回は、アワビの漁獲量が減少している現状とその要因を解説していく。
アワビの漁獲量が減少
出典 / 国立研究開発法人水産研究・教育機構
上のグラフは、国立研究開発法人水産研究・教育機構が発表しているアワビ類の漁獲量推移である。見ていただけるとわかるように、漁獲量が右肩下がりで減少している。特に北海道から静岡県までの太平洋側の漁港での減少が顕著となっている。
農林水産省によると、国内の天然アワビの漁獲量は、1970年の6466トンをピークに、2019年には829トンまで激減している。
初めて絶滅危惧種に指定
国際自然保護連合は、昨年12月9日に世界の生き物の絶滅危険度を評価したレッドリストの最新版を公表し、絶滅危惧種としてクロアワビ、メガイアワビ、マダカアワビを指定した。
国際自然保護連合がアワビ類を評価するのは今回が初めてであり、世界で54種いる中の20種が絶滅の危機に瀕していると報告している。
レッドリストに法的拘束力がないため、すぐにアワビの保護が行われるかはわからないが、このニュースにより資源保護の強化を求める声が強くなると予想される。
要因は乱獲・密猟・温暖化
アワビが減少した主な要因として挙げられるのは、乱獲、密猟、そして地球温暖化である。国際自然保護連合のレッドリスト管理者は次のように語っている。
「海水温の上昇に伴い、さまざまな病気が現れ、その発生率も高まっています。生息地の環境も汚染され、失われています。」
また、アワビを評価した研究員も、密猟対策も大切だが、長期的には海洋科学と温度の変化を止める必要があると温暖化対策の重要性を話している。
最悪の場合は禁漁も
昨年の夏、サザエやアワビの密猟が相次いでいた。密猟する人たちの中には、指摘されるまで違法だと知らなかったという人もいるようだ。
また、指摘を受けて、貝類を海に一度は返すものの、海上保安官がいなくなってから回収するという悪質な事例もある。
ふくおか豊かな海づくり協会の亀山さんは、このままアワビが取れなくなり、値段が上がり続ければ、最悪禁漁の可能性もあると話している。