どんな薬?
レカネマブは、脳内に蓄積した「アミロイドβ」というたんぱく質に結合し、その破壊を助けるモノクローナル抗体。アルツハイマー病の患者は脳内のアミロイドβ蓄積量が多いが、臨床試験(治験)ではこの薬の投与によってその量が有意に減少することが確認された。ただ、アミロイドβがアルツハイマー病を引き起こす物質なのか、それを減らすと病気の進行にどう影響するのかは不明のままだ。効果は?
18カ月にわたる治験では、投与によってアルツハイマー病の進行を3〜5カ月遅らせることができた。ただ、終盤にかけて効果は薄れてきたようだ。また、長期的に効果があるのかも今回の治験からはわからない。治験に参加したのは、早期のアルツハイマー病によって軽度の認知障害がある人だけなので、病気がより進んだ段階にある患者に対する効果やリスクも明らかではない。
一方、治験結果からは、アルツハイマー病の遺伝的危険因子とされる「APOE4」という遺伝子をもつ人の一部は、この薬によって効果が得られない可能性があることや、脳内出血を起こす可能性が高くなることが示された。
副作用は?
ある。治験参加者の約17%が脳内出血を起こし、13%は脳膨張(ARIA)を起こした。こうした有害事象の大半は、少なくとも注意深く経過観察された参加者では軽微なものだったものの、参加者のうち3人は死亡している。医師のなかには、こうした出血について、定期的な診療を受けていない患者や、心臓病などで抗凝血剤を服用している患者への影響を懸念する人もいる。実際、レカネマブはこうした患者向けに警告が表示されることになっている。いずれにせよ、服用に際しては細心の注意を払う必要がある。