金融(ファイナンス)とITテクノロジーを融合した金融サービス「フィンテック(FinTech)」分野への投資が急拡大している。融資や資産管理、決済、仮想通貨など様々な分野で新しい企業が生まれ、名だたる投資家や企業などが出資者として名乗りを挙げている。
今年に入りフィンテック系企業が集めた資金総額は80億ドル(約9,815億円)で、うち第2四半期のみで50億ドル。昨年の実績、124億ドルを超えるのは確実な勢いだ。今半期での調達件数は430、一回当たりの調達金額は1.850万ドルに上る。
このブームをJPモルガンチェースのジェイミー・ダイモンCEOは「シリコンバレーはこの分野に躍起になっている。優秀な頭脳と豊富な資金を持つ何百ものスタートアップらが、既存の金融機関に取って代わろうと様々な分野で活動をしているのだ」と、評している。
フィンテックの中で最も成功しているのは融資分野で、個人投資家と借り手をウェブ上でマッチングするクラウドファンディングのLendingClub、小口金融の審査プラットフォームを構築したOnDeckが代表的な企業だ。
米英の企業が先行しているフィンテックだが、日本でもここ数年、同様な潮流が見られる。クラウド会計ソフトのfreee(フリー)は給与や税金、保険料の計算などを自動的に行ってくれる。Liquid(リキッド)は従来になかったスピードの指紋認証システムで決済システムを提供する。
また、スマートフォンの広告事業で知られるメタップスのオンライン決済SPIKEや、家計簿アプリの「ドクターウォレット」なども注目のフィンテック系ビジネスと言えるだろう。また、ベンチャー企業だけでなく大手のマネックス証券、リクルートなどもフィンテック分野に参入している。
下記にフォーブスが発表したフィンテック企業の資金調達額ランキング、上位10社を掲載する。
Zenefits
事業領域:給与支払い
直近の調達:5億ドル(5月)
総調達額:5億8.100万ドル
ファンド大手のフィデリティー証券、ベンチャーキャピタルのAndreessen Horowitz、アカデミー賞受賞のハリウッド俳優、ジャレッド・レトらが出資。企業価値は54億ドルと見積もられている。
Lufax
事業領域:小口融資
直近の調達:4億8,500万ドル(4月)
総調達額:同上
上海の企業で中国名は「陆金所」
One97 Communications
事業領域:モバイル決済
直近の調達 3億7.500万ドル(5月)
中国のアリババグループの金融部門、Ant Financial Servicesが出資している。
Affirm
事業領域:月賦払い、融資
直近の調達:2億7.500万ドル(5月)
総調達額:3億2.500万ドル
SoFi
事業領域:小口融資
直近の調達:2億ドル(2月)
総調達額:3億9.900万ドル
Prosper Marketplace
事業領域:小口金融
直近の調達:1億6.500万ドル(4月)
総調達額:3億6.000万ドル
Funding Circle
事業領域:中小企業融資
直近の調達:1億5.000万ドル(4月)
総調達額:2億7.300万ドル
Zuora
事業領域:サブスクリプション型決済
直近の調達:1億1.500万ドル(3月)
総調達額:2億5.000万ドル
FinancialForce.com
事業領域:企業財務管理
直近の調達:1億1.000万ドル(3月)
総調達額:2億2.000万ドル
WorldRemit
事業領域:国際送金
直近の調達:1億ドル(2月)
総調達額:1億4.000万ドル