配車サービスのウーバーは、ドライバーたちに専用のクレジットカードの提供を開始した。公式発表によると、マスターカードが発行する専用カード「The Uber Fuel Card」を使えば、ガソリンが1ガロンにつき最大15セント安くなるという。購入できるガソリン代は1週間に200ドルまでと決まっており、給料から自動的に天引きされる。
このカードを使えるのは、前月に200回の乗車を達成したドライバーのみ。ウーバーで戦略担当を務めるデイヴィッド・リヒター氏はこの試みを「ドライバーの乗車率を高めるための戦略だ」とコメントしている。ウーバーのドライバーはフリーランスであり、競合のリフトなどで勤務することを禁止にはできない。しかし、ドライバーらがなるべくウーバーでの勤務を選ぶように、同社は乗車時間に応じて報酬を増額する仕組みもとっている。
今回のクレジットカードは同社が「モーメンタム」と呼ぶ特典プログラムの一貫。特典の中には、車の修理代の負担や健康保険のディスカウントなどが含まれている。また、ウーバーでは以前からローンの審査に通らないドライバーらに「車の資金調達プログラム」を提供していたが、この取組みは昨年、連邦政府の調査を受けた。パートナーの2社に不良債権問題が浮上し、一部のドライバーらが「高金利でローンを組むようプレッシャーを受けた」と証言したためだ。
今回の試みについてウーバー社のリヒター氏は「クレジットカードを持たない人でも、ガソリン代を前借りし、後で返済できることがポイントだ」と述べている。ドライバーらはウーバーのアプリから、近隣のガソリンスタンドの価格情報も入手できる。
ガソリン代はドライバーらにとって最も大きな出費であり、その支払い手段をウーバー社が提供するのは乗務員にとってメリットがあることかもしれない。しかし、雇用主であるウーバーが従業員に借金を負わせるようなやり方には一部から批判の声もあがっている。
「一見すると素晴らしいことのように見えますが、本当にドライバーの利益になるかは疑わしい」と、フォーブスの寄稿者のハリー・キャンベル氏は言う。キャンベル氏はウーバーやリフト社の労働条件について多くの記事を執筆している。
「ドライバーたちはウーバー社のことをあまり信用していない。今回の特典もほとんど利用されないということもあり得ます」とキャンベル氏はコメントしている。