悪質な攻撃を身代わりで受ける「インターネットの盾」




悪質なウィルスソフトなどマルウェアへの対策が「いたちごっこ」の様相を呈しているなか、クラウドで攻撃を回避するクラウドフレア社のサービスが人気を集めている。

 クラウドフレアは、顧客のウェブサイトとアプリから悪意に満ちた通信を跳ね返す、安価で信頼できるサービスだ。顧客が自分のコンピューターにファイアーウォールをインストールするこれまでのやり方に代え、クラウドフレアは顧客をクラウド上で安価に(多くの場 合は無料で)保護する。同社は世界28カ所データセンターにルーターとサーバーを持 っており、顧客のサイト訪問者を最も近いクラウドフレアのサーバーに行くようにルートを変更する。脅威だと判定された通信は追い払われる。

 このビジネスにおける大手は、アカマイである。同社は、コンテンツ配信ネットワークを16年も続けており、年間収入は16億ドル(約1,600億ドル)に上る。フェイスブックやマイクロソフトが、自社のウェブサイトが早くロードされるようにアカマイのサービスを利用している。アカマイと同様、クラウドフレアもロードを早めるが、創業当初より「悪意ある乗っ取られたコンピューター」からの保護を強調している点が特徴的だ。クラウドフレアは5年前、プリンスと、ハーバード・ビジネス・スクール時代の友人のミッシェル・ザットリン、エンジニアのリー・ホロウエイによって創業された。最初は、アカマイが相手にしない小規模の顧客を対象にしていた。だが次第に、ナスダックやイェルプ、そして連邦政府などの大きな顧客も獲得するようになった。

 クラウドフレアが大きくなったのは、DDoS(分散型サービス妨害)攻撃が増えたのと軌を一にしている。DDoS攻撃は、(中略)09年から10倍に増えている。犯人はいたずらのほか、競合他社や政治的敵対者、恐喝者などによる可能性がある。DDoS攻撃で脅して金銭を巻き上げる恐喝事件の被害者として、エバーノートやヴィメオなどが、FBI(米連邦捜査局)による捜査を受けていると言われている。

 (中略)クラウドフレアの支援者であるベンチャー投資家から「素晴らしいビジネスだが、殺害の脅迫が来たらどうするのか」と聞かれたプリンスは、次のように答えたという。「このようなことを始めたら、成功したときにどうなっているかなどわかりません」

カシミア・ヒル

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