ジョージ・ソロス、ジム・ロジャーズ、ピーター・リンチ……など、これまで“伝説”を残した投資家を挙げればきりがない。
フォーブス ジャパン2014年10月号では、「投資は哲学だ!」という特集テーマに適した投資家を9人選び、その投資実績や投資術、名言から彼らの投資哲学をひもといていく。
トーマス・ロウ・プライス・ジュニア(1898~1983) T.ロウ・プライス・アソシエイツの創設者
投資哲学:成長株に長期投資せよ。
名言:「(巨万の富を築いた人々の多くは)成長企業の株に投資して、浮き沈みに左右されずに保有し続けた人々である」
後世に残る功績:1937年に設立したT.ロウ・プライス・アソシエイツは、株を売って手数料を稼ぐ慣行を廃止し、運用資産ベースの報酬体系を導入した。いまでこそ業界の常識だが、当時としては画期的なアイデアだった。
投資理論:投資先として、収益と配当の伸びがインフレ率や経済成長率を上回る銘柄を探した。「株価は全体として景気循環に左右される」という一般的な見方に反して、こういう銘柄は長期的に見れば他の銘柄を上回るパフォーマンスを示すと考えた。
プライス流投資:プライスが最初に設立したグロース・ストック・ファンド(1950年設立)は、現在でも創設者の投資戦略の基本方針である「成長株投資」を継承し運用している。また、同ファンドは、過去10年間でS&P500を上回るパフォーマンスを挙げている。
FROM EDITOR-IN-CHIEF
“成長株投資の父”と呼ばれる。株式の期待収益率は、単純化したモデルでは「配当利益率」と「成長率」で表されるが、プライスは「成長率」を重視する。
新しい技術や競争が激しすぎない業界はもとより、有能な管理職や労働組合とのもめ事の有無も重要視し、徹底的に現場主義を貫く。
そしてプライスが最も重視するのは「経営者のオーナーシップ」である。長期的視野に立って決して簡単に手放したり買い戻したりしない。