わずか2年前、フェイスブックに次ぐ圧倒的存在感を誇ったツイッターが苦境に立っている。勢いづく新興のアプリたちが、そのポジションを狙っているのだ。アップアニー社のランキングではInstagramやSnapchat、Dubsmashや Kikといったライバルが全て、ツイッターのダウンロード数を超えている。
「ツイッターはもはや米国では上位20位圏外のアプリになりました」と語るのはソーシャルメディアの調査企業・Magid Associates社のTero Kuittinen氏。
「新興のソーシャルアプリが勢力を増す中で、ツイッターはかなり苦戦しています」
ライバルの猛追に苦しむのみでなく、ツイッター自身の成長力にも陰りが見える。直近のユーザー成長率は18%に低下。昨年の第三四半期の23%から5%も下げている。本年度第一期のMAU(月間アクティブユーザー数)は3億200万人と発表したが、今期の予測値は非公開とした。相次ぐ新機能の追加もユーザー数の増加には貢献していないようだ。
不調の責任をとる形で先週、CEOのディック・コステロは辞任を表明。後任は暫定的な形でジャック・ドーシーが務める。しかし、アナリストらの見方では「組織改編が効果を出せるかどうかは疑わしい」という。ツイッターはマネタイズを急いだり、ユーザー利用率向上の策を練るよりも、「まずは新規ユーザーの獲得こそが緊急の課題だ」というのだ。
他のアプリの数字を挙げてみよう。InstagramのMAUは3億人。ツイッターとほぼ同数だ。Snapchatは先月、デイリーのユーザー数が1億人に近づいていると発表し、米国の13歳~34歳のスマホユーザーの6割以上が同社のアプリを使っているとのデータを公開した。
前出のKuittinen氏は「Snapchat がツイッターのユーザー数を追い抜くのは確実だ」と述べている。グーグルやフェイスブックに次ぐポジションが揺らいでいるのだ。ツイッターは一体とんな手を打つべきなのか。
他のソーシャルアプリに比べ、ツイッターは初心者にとって、とっつきにくい存在だと分析するアナリストも居る。「Snapchat や Dubsmashなどの動画メッセージを中心としたサービスは、ユーザーが気軽に楽しめるファンキーな雰囲気に満ちている。ビジュアルに訴える要素がツイッターには足りない」とKuittinen氏は分析する。
ただし、ツイッターは今年はじめにライブ動画配信アプリ、Periscopeを買収しており、そこから若いユーザーを獲得できるかもしれない。ユーザー数を増やそうと思ったら、若い年代に受け入れられることが鉄則なのは、これまでのネットのサービスの歴史が証明している。
もう一つツイッターに足りない要素がメッセージングだ。最近はDMの140文字制限撤廃の発表も出たが、ツイッターは家族や友人とメッセージをやりとりする代表的ツールとは言いがたい。
「Snapchatに代表される成功した新興アプリは、いずれもメッセージングに主軸を置いている。メッセージよりもコンテンツに重きを置くのがツイッターだったが、新興のアプリたちはその逆で、メッセージングから始まって、コンテンツのプラットフォーム化に乗り出している」(Kuittinen氏)
変化のスピードの遅さもツイッターのマイナス要因だ。「新興のアプリが毎月のように新機能を盛り込んでいるのに比べ、ツイッターの進化はあまりにも遅いとしか思えません」(同前)
投資家やアナリストの間では「ツイッターは買収のターゲットになる」という見方も浮上した。元CEOのディック・コステロ自身も「今後はあらゆる提案を検討していく」と述べた。しかし、ユーザー数が急増中のDubsmash や Kikに比べ「ツイッターは高すぎる買い物になりそうだ」という見方も強い。特にアジア地域での存在感が薄いこともマイナス材料とされている。
アナリストらは「ツイッターは社外から強力なCEOを見つけてくる必要がある」と述べている。新CEOはプロダクトを根本から見直して、新規のユーザー獲得に全力をあげるべきだというのだ。
Axiom Capital Managementのアナリスト、Victor Anthony氏はフォーブスの取材に対し「新しい考え方のできるリーダーの元で、ツイッターは最初から戦略を練り直す必要がある」との見方を示した。