ティム・クック、オバマ、グーグルCEOらの「卒業式スピーチ」

5月17日ジョージ・ワシントン大学にてスピーチを行ったティム・クックCEO(アップル)写真:AP/アフロ



米国の大学では毎年春、各界の著名人らが卒業生向けのスピーチを行う。今年の傾向として挙げられるのは「世界に変革を」というお決まりのメッセージに加え、前世代の失敗に取り組むことを激励するリーダーが多かったことだ。
「2016年、私たちはスーパーマンやスーパーウーマンが窮状を救ってくれるのを、じっと待っているわけにはいきません。私たち自身がスーパーマンであり、スーパーウーマンです。私たちこそがどうすべきかを決めるのです。」と元・米国務長官コリン・パウエルはRice Universityの卒業生らに語った。
下記に2015年の卒業式で著名人らが贈った、力あふれるメッセージの数々をご紹介する。

ティム・クック(アップルCEO)
「世界が君たちを必要としている」

卒業生の皆さん、皆さんの価値観は非常に重要です。それは皆さんの指針となる北極星のようなものだからです。そして、自分が正しい方向を向いていると感じるとき、仕事は新しい意味を持ちます。そうでなければ仕事はただの仕事です。短い人生、そんなことをしている暇はありません。私たちは、政治やビジネスの分野で、科学や芸術の分野で、またジャーナリズムや学問の分野で、皆さんの世代ナンバーワンの最も聡明な人材を必要としています。
これらのどの分野に従事しようと、それは立派なことです。また、倫理観に即した仕事をするチャンスはあるものです。ビジネスで成功を収めるかやりがいのある仕事をするか、どちらかを選ぶ必要はありません。今や成功とやりがいを天秤にかけることはこれまで以上に間違っています。(5月17日、ジョージ・ワシントン大学)


エリック・シュミット(グーグル会長)
「人類のため、未来へのコードを書くのは君たちだ」


近い将来を思い描くのはそう難しいことではありません。そこでは、ハイテクが時間通りにあなたの目を覚ますでしょう。自動運転カーがあなたをオフィスまで連れて行き、その間あなたは仕事の情報収集をします。また人間の脳は解読されているでしょう。CO2を除去し燃料を生産する新たなシステムが開発され、地球を救うでしょう。小児がんはほぼ過去のものとなり、いたるところで子どもの命が救われるでしょう。
40年も待たなくてもこういったことは間もなく実現します。ただし、誰かがそれを実現させなければなりません。
そこで、皆さんの出番です。コンピュータは私たち人間なしに勝手に機能することはありません。今挙げた例えはすべて、皆さんなしには起こりえないのです。今こそ皆さんが必要とされています。この近未来を作ることができるのは、皆さんです。これらの夢を携え、実現できるのは、皆さんです。ただ存在するのではなく、真に生きることを選ぶ必要があるのがあなた達なのです。(5月15日、バージニア工科大学)

 
バラク・オバマ(米国大統領)
「皆さんのような人たちにこそ投資すべきだ」


今は困難でも、あと少し頑張ればすぐそこには何か良いことが待っている、という信念。それが希望というものです。そしてこの国が常に特別である理由は、それを約束しているからです。努力と犠牲の上に、私たちは皆それぞれの夢を追い求めることができる。それと同時に、私たちはひとつのアメリカ人家族として団結し、次の世代もきっと彼らの夢を追求できるようにする、という思想です。
つまり、責任を持って我が子の面倒もみるし、他人の子の面倒もみるのです。自分がチャンスに恵まれ成功を収めたなら、他の人もチャンスに恵まれるようにしなければなりません。(5月8日、レイク・エリア・テクニカル・インスティテュート)

 
エリザベス・ホルムズ(医療分野で著名な起業家)
「近道なんて無い」


誰よりも賢く懸命に取り組まなければなりません。人生の旅において、私たちは常に試されています。一番つらいと感じる時こそが最も大切な時期です。そんな時間こそが、あなたにとって譲れないものを明確にしてくれるのです。
愛する人が病気のとき、そしてその人にまた元気になってもらいたいと願うとき、私たちは自分がどれほど無力かを実感します。これが、私にとっての譲れない点です。(5月2日、ペパーダイン大学)

文=キャサリン・ディル(Forbes)/ 編集=上田裕資

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