電動航空機アリスで「空のテスラ」を目指すイスラエル企業Eviationの野望

Eviationのアリス(同社提供)

物流大手DHLもアリスを導入

一方で、チャンドラーは9人乗りのアリスの未来にも自信を深めている。彼は、アリスのような小型の電動航空機が、地方の小さな空港の荷物の配送と旅客サービスの両方で、役立つと考えている。

「電車や自動車で400キロ程度の旅をする代わりに、地方の空港からオンデマンドのアリスに乗れば、もっと楽しい旅ができるはずだ。この飛行機は、一般市民の空の旅に対する考え方を変える可能性がある」

Eviationはすでに、約300機近くのアリスの受注を獲得し、その総額は約20億ドルに及ぶという。また、物流大手のDHLは、12機のアリスを発注し、Eコマースの配送に使用する計画という。

チャンドラーの電動航空機への夢は、CO2の排出削減を目指す各国の政府の政策の追い風も受けている。フランスは、電車で2.5時間未満で移動できる距離のフライトを禁止したが、低排出の航空機を禁止対象から除外している。ノルウェーは、国内を発着する短距離路線の全便を2040年までに電動航空機に完全に切り替える計画を発表した。

チャンドラーは、この分野でMagniXが圧倒的なリードを確保し、自動車業界のテスラのように航空業界の電動化で優位に立てたと述べている。「私たちはエベレストのような山に登ろうとしている」と彼は語った。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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