10代は「青春」を失ったのか? ドイツ国民の3分の2に届いた広告

「Penny | The Wish」より

コアターゲットである母親たちとの絆を深める

このキャンペーンは、ドイツの多くの有名メディアで取り上げられ、ドイツ国民の3分の2に到達し、PENNYのメディア価値を倍に押し上げた。

同社の狙いは、当初から短期的な売上アップにはなく、コロナ禍における若者の惨状を国民的な課題として提示することにあった。そのことによって、コアターゲットである母親たちとの絆を深め、次世代のコアターゲットである若者の支持を得ることを目的としていたので、結果は大成功だったと言えるだろう。

事例ビデオの中で自らがそう言っているが、PENNYはドイツ国内で最小のディスカウント・スーパーマーケットである。そのぶん、コアターゲットとの心理的な「絆」の必要性が高かったのだろう。


Penny - The Wish (事例ビデオ)

さて、ところで、この動画だけを見て、「なぜグランプリを獲ったのか、どこが良いのか分からない」と嘆いているマーケティング業界の方を複数知っている。たしかに、背景や狙い、ドイツ国内での拡がり具合まで知らないと、“ただの暗い、妙にエモーショナルな動画”にしか見えないかもしれない。

ただ、周辺情報を知れば、実はとても参考になる事例だ。日本ではあまり見かけない、ディスカウント・スーパーマーケットによる、コアターゲットとの絆を深めるための大変にエモーショナルなアプローチ。思わぬ場面で、ヒントになるかもしれない。

文=佐藤達郎

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