what3wordsでは、類似した単語が並ぶ3ワードアドレス同士はなるべくヒットロケーションを遠くに離して、ナビゲーションの目的地選択がスムーズにできるように工夫している。例えばJR東京駅・八重洲中央口正面ブロックの「///なざし。てがける。ほけん」という3ワードアドレスの一部が、音声入力の失敗により「///なざし。『み』がける。ほけん」と認識された場合、ヒットロケーションはチェコスロバキア北西部の緑豊かな田園地帯を指し示す。
3ワードアドレスによるピンポイントの目的地設定が可能
what3wordsとクルマの好相性を証明。引き合いも増えている
what3wordsとスバルは、米ラスベガスで毎年開催されるエレクトロニクスショー「CES」で数年前に出会い、2019年にはスバルのプライベートファンドである「SUBARU-SBI Innovation Fund」がwhat3wordsの活動に出資するかたちで支援を続けてきた。
シェルドリック氏は当時のスバルに対する印象を「とてもイノベーションに対して積極的な企業」と振り返る。「当社の3ワードアドレスの技術が、スバルのアウトドアビークルと非常に好相性だった。what3wordsのソフトウェアはカーナビゲーションのマップに、座標データを3ワードアドレスに変換するためのアルゴリズムをインストールすればオフラインで使える。さらに動作も軽快であることから、最初の体験からスバルの担当者に興味を持っていただき、以来パートナーシップが始まった」
今後の自動車、ナビゲーションシステムのメーカーとのコラボレーション展開について意欲を語るwhat3wordsのCEO、クリス・シェルドリック氏
元から自動車での利用に適したwhat3wordsの3ワードアドレス検索と、日本語音声入力による操作が結びついたことで、商用サービスのイメージがより具体的に見えるようになった。シェルドリック氏によるとスバルの発表以来、他の自動車およびカーナビゲーションのメーカーからwhat3wordsに寄せられる関心はさらに大きくなっているという。
次の課題は、一般のユーザーにもwhat3wordsの利便さを伝えるためのプロモーションをより積極的に展開することだと筆者は考える。駅や商業施設、観光スポットなど待ち合わせ等の目的地が漠然としているのであれば、今までどおりのマップ検索で事足りる。「地図に載っていない、足を運びたくなる絶景スポット」など、3ワードアドレスが活きる事例を集めたガイドブックなどがあってもいいと思う。Googleマップよりもwhat3wordsを頼りにするファンを地道に獲得するためにさまざまな情報発信の手を尽くしたい。
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