「3つの言葉」による音声地図検索、スバルのコネクテッドSUVが対応した理由

スバルは日本仕様の新型クロストレックにwhat3wordsによるナビゲーションシステムを採用した

英国のスタートアップwhat3wordsが提供する独自の「3ワードアドレス」をスバルの新型クロストレックの車載ナビゲーションシステムが採用した。what3wordsによる新しい目的地設定の技術が自動車による移動と好相性な理由と、今後に向けた可能性をCEOのクリス・シェルドリック氏に聞いた。

マップ検索の常識を変える「3ワードアドレス」


what3wordsの住所システムは世界地図を3メートル四方・57兆個のブロックに分けて、それぞれの座標に3つのランダムな単語の組み合わせを割り振る。例えばJR東京駅・八重洲中央口正面のあるブロックには「///なざし。てがける。ほけん」といった不変の3ワードアドレスが固定されている。

3ワードアドレスを上手に活用すれば、例えば山奥の秘境にあるキャンプ施設、音楽フェス会場の特定ゲートなどで仲間たちとピンポイントの待ち合わせができる。


東京のカフェKAIDO BOOKS & COFFEEは店舗の紹介、フードのデリバリーサービスにwhat3wordsを活用している

what3wordsのサービスをビジネスに採り入れる日本の企業も増えている。例えばタクシー配車アプリ「S.RIDE」はタクシーによる乗車地・目的地の検索システムにwhat3wordsを組み込んだ。THE KNOT(ザ ノット)ホテルもウェブサイトのアクセスマップに3ワードアドレスを掲載している。

スバルが日本語による3ワードアドレスの音声入力を初採用


what3wordsのマップサービスはウェブ、またはAndroid/iOS対応のモバイルアプリとして提供されている。インターフェースの日本語化も対応済みだ。

3ワードアドレスは車載ナビゲーションシステムとの相性も良く、日本の自動車メーカーでは三菱自動車が2020年に発売したSUVのエクリプスクロスがいち早く採用している。

2022年末には、スバルが日本仕様の新しいSUVクロストレックに搭載する車載ナビゲーションシステムにwhat3wordsを載せた。さらに初めての試みとして日本語音声入力による目的地設定に対応。音声検索のシステムには米Cerence(セレンス)のAPIを組み合わせている。

「自動車のドライバーが使うハンズフリーインターフェースとして、音声入力はその安全性の高さにも定評がある。スバルの新車両が搭載するwhat3words対応のナビゲーションシステムは、3つの単語間に正しくスペースを挿入したり、ハンズフリーによる音声入力に最適化した安定感のある使い心地を実現している」とシェルドリック氏が特徴を説明している。

スバルの新型クロストレックが搭載する、音声入力による3ワードアドレスの検索手順は以下のとおりだ。ナビゲーションシステムを起動した後、最初に「what3words」と発声すると、ナビゲーションの側から3ワードアドレスを声で入力するように返してくる。続いて「なざし てがける ほけん」といった具合に、少しの間を置いて単語を発声しながら入力する。続いて複数候補の目的地が画面に表示されるので、リストの中から目的地を選択するとナビゲーションがスタートする。


スバルのクロストレックが搭載するナビゲーションシステムはwhat3wordsによる目的地設定機能を採用する
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編集=安井克至

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