自動運転車の現在(3)「貨物を運ぶロボット」

CES2022に出展されたAurora自動運転トラック(Getty Images)


現在は、高速道路の「ランプ・トゥ・ランプ」(出入口から出入口)の長距離輸送を自動化し、ラストマイルは人間が運転するトラックに積荷を移して補完することが目標となっている。また「ドック・トゥ・ドック」(配送センターから配送センター)、つまり高速道路を使った長距離と配送センターへの経路をドライバーレスで移動できると主張するAVメーカーもある。この「ドック・トゥ・ドック」機能こそが究極の目標だ。荷主たちは自分たちの運用を技術に合わせるのではなく、技術を自分たちの現在の運用に適応させたいと考えているのだ。TuSimpleのメッセージは「ドック・トゥ・ドック」ソリューションで市場に参入することを謳っている。他のスタートアップは、初期システム導入のために「ランプ・トゥ・ランプ」に重点を置いている。ドック・トゥ・ドックを提供できる長距離AVプレイヤーは、大きな競争優位性を獲得するだろう。

この先どうなるのか?


人の移動に比べ、貨物側の輸送はより切実に望まれている。その技術が完璧に機能し、貨物輸送の運用に完璧にフィットすれば、採用は拡大するだろう。たとえばウォルマートのことを考えてみよう。Gatikの導入により、低コストで顧客サービスを向上させることができるなら、彼らは営業する20ヵ国以上でAVの運用を迅速に拡大するだろう。アマゾンのような巨人や、上記に挙げた他の荷主の場合も同様だ。2023年には、路上B2B配送のユースケースが大幅に拡大すると予想している。

その過程で規制上の問題が発生した場合には、これらの荷主が支援的な規制体制を提唱する上で、ますます大きな役割を果たすだろう。はっきりさせておきたいが、米国連邦政府がこの問題について基本的に沈黙しており、州政府が明示的に許可していることから、現在多くの管轄区域でドライバーレス運転が行われている。しかし、業界は長期的な視野に立ったより確実な方法を求めている。ウォルマート、Loblaw(ロブロー)、Georgia Pacific(ジョージア・パシフィック)、Knight-Swift(ナイトスイフト)、その他ここに挙げたすべての大手荷主や貨物輸送会社を考えてみよう。彼らはともに、規制当局や立法者との交渉の席で大きな声を上げている。彼らはドライバーの仕事が危険にさらされていないこと、サプライチェーンの改善と商品のより持続可能な移動は自動運転によって支えられていることをを強く訴えるだろう。荷主だけでなく、自動車メーカーもAVを全面的にサポートするような規制を積極的に働きかけていくだろう。
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翻訳=酒匂寛

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