自動運転車の現在(3)「貨物を運ぶロボット」

CES2022に出展されたAurora自動運転トラック(Getty Images)


経済的な不確実性はともかくとして、AV業界にはその他にはどのような暗雲が立ち込めているのだろうか。おおむね、技術は進歩している。議会や米国運輸省(USDOT)のおかしな動きがマイナスに働く可能性はあるが、深刻な見通しは見られない。それよりも重要なことは、1件の重大な事故や軽微な事故の連続が、個々の開発者の挫折につながるということだ。さらに悪いことに、広範に事故が発生するなど、国民が不安を感じるような事態になれば、業界が事態にテコ入れを行う必要が出るだろう。このような緊縮時には、技術の調整、さらなるテスト、大規模な世論調査や教育キャンペーンを実施する必要がある。ただ私は、もしそうなったとしても、業界は止まることなく、ただ慎重を期して製品投入が遅くなるだけと見ている。現在、米国運輸省(USDOT)はAVの事故報告要件を定めており、これによって私たちは安全性能を把握することができる。これまでのところ、すでにドライバーレス車を走らせている企業の安全記録は良好である。

自動運転車リアリティチェックのまとめ


このリアリティチェックシリーズでは、人とモノの両方の輸送について見てきたが、現在、両方の領域でドライバーレス化が進んでいる。だがその地理的な広がりはまだごく小さなものだ。特に需要の高い地域での事業拡大や事業強化は、計画通りに進めば、収益性向上への道筋となるスケールアップへの鍵となる。利益が出ることで、サービスの大幅な拡充につながる。

結論は? 緩やかではあるが着実なペースで、現代社会の広い範囲において、人々の移動ニーズと企業の物流ニーズに対応したドライバーレス運用への移行が進行していく。個々の技術開発者にとっては大きな不確実性はあるものの、業界全体としては堅調な成長が続いていくだろう。

情報開示:私はGatik、Outrider、Plus、RRAIのアドバイザーおよび/または株主である。

forbes.com 原文

翻訳=酒匂寛

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事