政府は2024年に卒業する学生の採用ルールについて、採用広報活動を2023年3月以降、採用選考活動を同年6月以降、内定を同年10月以降の実施としている。
しかし新卒採用では早期化の傾向が強まり、採用広報解禁の3月より以前に、大半の学生が選考に参加したい企業を決め、選考に参加しているという実情が浮かび上がってきた。
新卒採用事業などを手がける学情は、 2022年12月1日~11日、2024年3月卒業予定の大学生・大学院生を対象とした「就職活動の選考参加」についての調査を実施(有効回答数526件)。
企業の「選考に参加したことがあるか」を尋ねたところ、「ある」と答えた学生が52.7%に。半数以上の学生が、採用広報の解禁前に選考への参加を経験していることが分かった。
プレスリリースより(以下同)
さらに、「選考に参加したい企業が決まっているか」の質問には、「3~5社」と答えた学生が最多で34.8%。次いで「1~2社」(16.9%)、「6~9社」(14.1%)、「10社以上」(7.8%)の順に。3月の採用広報解禁を前に、合わせて7割強の学生に選考参加の意思を固めている企業があり、選考に参加したい企業が決まっていないと答えた学生は26.4%にとどまった。
すでに選考に参加したい企業があると答えた学生からは、「インターンシップに参加し、仕事内容や社風をイメージできた 」「インターンシップに参加した企業から、一次選考免除の案内をもらった」などと、インターン先で企業や仕事への理解を深め、志望企業のあたりをつけたり、選考の優遇を受けたというコメントが。
他にも「業界研究セミナーや社員との交流を通して、社風がマッチしていると感じた」「興味のある企業とは、合同企業セミナーや1dayインターンシップ、就業体験、OBOG交流会など複数回接点を持った。様々なコンテンツに参加するうちに、より企業理解が深まった」と、企業が早期から様々な採用活動を実施し、多面的に学生へアプローチしている様子がうかがえた。
就職活動を終えたい時期については、「2023年6月末まで」の回答が29.3%で最も多く、「2023年のゴールデンウィークまで」(17.9%)、「2023年7月末まで」(11.4%)が続いた。
学生からは、「大手企業を志望しているので、大手の選考が集中する5月、6月まで就職活動をする予定」という声があがる一方で、「3年生のうちに終えたい」と答えた学生も12.7%存在。
「ベンチャー企業を志望しているので、3年生の3月までに選考が実施される予定」「既に複数の選考に参加しているので、3年生のうちに就職活動を終えることを目安にしている」といったコメントが寄せられた。
コロナ禍、日本経済は規制緩和などにより正常化しつつあるが、2023年もウクライナ情勢や米国の景気変動による影響など、予断を許さない状況だ。新卒就活・採用市場へのインパクトは、決して小さくない。
そんな中、限りある予算で優秀な学生を少しでも早く、多く採用したい企業と、先が見えない状況下で早く自分に合う就職先を見つけたい学生たち。新卒採用の早期化は今後、さらに加速していきそうだ。