ChatGPTの「オープンAI」が評価額290億ドルで株式公開買い付け

チャットボットプログラムChatGPTを開発した人工知能企業「オープンAI」は、同社の企業価値を290億ドル(約3.9兆円)と評価する株式の公開買い付けで、発行済み株式の売却を協議している模様だ。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が1月5日に報じた。

ChatGPTは、いくつかの問題を抱えながらも人工知能(AI)の革命的な進歩として多くの人に賞賛されている。

ベンチャーキャピタルのFounders FundとThrive Capitalは、少なくとも3億ドル相当の株式を購入するために交渉中とされる。WSJによると、オープンAIの評価額は2021年の公開買い付け時には約140億ドルとされており、今回の額はその2倍以上となる。

同社は非上場企業で、株式の多くは従業員などの株主から購入されるという。オープンAIは、この報道についてコメントしてない。

ロイターの先月の記事によると、オープンAIの2022年の収益はわずか8000万ドル程度であり、290億ドルという評価額は、同社の将来の能力を非常に強気に評価したものと考えられる。オープンAIは、投資家に対し、2024年までに年間売上高を10億ドルに引き上げると伝えたとされる。

11月30日にリリースされたChatGPTは、人間の会話を模倣し、ユーザーのプロンプトに対して詳細な応答を提供する能力ですぐに人気を博した。このプロダクトは、発売後の1週間で100万人の登録ユーザーを獲得したが、現時点では「リサーチプレビュー」の段階であるため、無料で使用できる。

オープンAI は、テキスト入力をもとに画像を生成する「DALL-E 2」などの類似プロダクトも発表している。ブルームバーグによると、マイクロソフトは2019年に同社に10億ドルを出資し、ChatGPTのソフトウェアを自社の検索エンジン「Bing」に統合し、グーグルからトラフィックを奪いたい考えだという。また、WSJによると、マイクロソフトは出資比率を高めるための交渉も積極的に行っているという。

ChatGPTは、不正確な回答をしたり、似たようなフレーズを繰り返すなどの、いくつかの問題を抱えているが、これまでのところ競合プロダクトよりも高い評価を獲得し、成功を収めている。

メタのチャットボットの「BlenderBot 3」は、昨年8月のリリース直後から人種差別的なものや、反ユダヤ的な発言を行うようになった。また、実際に会話を試みたユーザーに対し、2020年の大統領選挙に勝利したのはトランプだったと答えたことが問題視された。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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