アルバムに収録された高品質録音の大部分は、市民による科学的カエル調査プロジェクトでオーストラリア周辺のカエルの保護と保存のために貴重なデータを提供しているオーストラリア博物館FrogID Projectに送られてきたものだ。最も絶滅の危機にあるカエルたちの歌声はオーストラリアの科学者らによるもので、その中には残念ながらすでに完全に絶滅した種もいくつか含まれている。自然録音家の大家でオーストラリア野生動物音声録音グループの代表であるアンドリュー・スキーチは「Listening Earth」アルバム・シリーズ(こちらも聴く価値あり)を20年近く制作しており、オーストラリア国内で私たちが滅多に訪れることのない部分のすばらしい音の風景を提供している。この音声は勉強、リラクゼーション、瞑想、あるいは休みの日の鑑賞にぴったりだ。
これらの歌と鳴き声はすべて無料の音源だが、このアルバムがユニークなのは、一般人が決して聞くことのなかった音を1つのコレクションとして集めたことだ。アルバムを購入することで、このカエルたちの保護に必要な資金を提供することもできる。
「カエルは地球で最も脅威にさらされている動物群であり、他のどの動物群よりも急速に減少しています」とFrogIDのプロジェクト・コーディネーター、ナディア・ロスランはいう。
「オーストラリアのカエルの6種に1種がすでに脅威にさらされており、私たちは少なくとも4つの種をすでに絶滅で失っています。主な理由は生息地の喪失、病気、外来種および汚染です」
オーストラリアはすでに4つの種を絶滅のために失っている。それは「southern day frog」「sharp-snouted day frog」「southern gastric brooding frog」「northern gastric brooding frog」の4種だと、FrogID主任研究員でオーストラリア博物館およびニュー・サウス・ウェールズ大学シドニー校の両生類・爬虫類管理者のジョディ・ローリーはいう。しかし、それ以外の約40種も脅威にさらされており、そのうちのいくつかはここ数年見たことも声を聞いたこともないため、おそらく絶滅しているだろうとローリー博士は付け加えた。
「この減少状況は深刻です、なぜなら私たちにはカエルの存在が必要だからです。彼らは健全な生態系を維持する重要な役割を担っており、この役割は別の動物群で代替することはできません」とロスランは指摘した。
FrogIDプロジェクトは過去5年間だけで50万件以上にのぼるカエルの鳴き声の録音を市民科学者から集めてきたが、カエルたち自身とその行動は未だに謎に包まれている。
「私たちは未だにカエルのことをあまりわかっていません。埋めるべきデータのギャップはたくさんあります」とロスランはいう。
この珍しいアルバムはCDまたはダウンロードで購入可能で、売上はオーストラリア博物館FrogIDプロジェクトの支援に充てられる。
(forbes.com 原文)