米疾病対策センター(CDC)によると、昨年12月31日までの1週間に確認された感染者のうち、XBB.1.5への感染者の割合は40.5%となり、前週の21.7%から急増していた。XBB.1.5はわずか1週間の間に、それまで感染の大半を占めていた「BQ.1」「BQ.1.1」を上回り、最も優勢になったということだ。
米スクリプス・トランスレーショナル研究所のエリック・トポル所長は、「1週間で倍増」という感染拡大のスピードに対する驚きをツイート。さらに、この亜系統への感染者が最初に確認されたのはニューヨークであることについても投稿している。
感染者の急増が示すのは、XBB.1.5が過去に出現したその他の亜系統よりも、さらに強い感染力を持つ可能性があるということだ。免疫からさらに逃れやすくなっている可能性もある。また、この両方が該当するとも考えられる。
つまり、年末年始のホリデーシーズン後には、また新たな感染の波が訪れる可能性が非常に高いということだ。この2週間ほどの休みの間、感染対策をまるで「流行遅れ」とでも考えているかのように、予防策を取ることなく行動していた人は多い。
旅行したり、集まったりする人たちが増える時期に十分な対策が講じられていなかったのは、素晴らしいこととは言えない。
XBB.1.5に関する5つの疑問
新型コロナウイルスのパンデミックが発生して以来、新たな変異株や派生型が優勢になるたびに、それらに対する疑問点として挙げられてきたのは、次の5つのことだ。
1. 感染力はさらに強まったのか?
2. 重症化の危険性は高まったのか?
3. ワクチン接種で得た免疫、自然免疫を逃れる力は強まったのか?
4. 現在ある治療法・薬は有効なのか?
5. 特に警戒すべきことはあるのか?
XBB.1.5に関して、最初の疑問に対する答えは「恐らくそうだ」。2番目への答えは、「いまのところ、そうはみえない」。そして、3つ目の疑問への答えは、「そのようだ」となる。
さらに、XBB.1.5がワクチンや過去の感染によって産生された抗体を回避する能力を高めている可能性があることから考えれば、4つ目の疑問に対する答えにも見当がつく。これまで有効とされてきたモノクローナル抗体薬はいずれも、基本的にはXBB.1.5に対し、ほとんど効果がないとみられている。