マネー

2023.01.05

ジャパニーズ・ダイナミズム:「令和のトヨタやソニー」に投資する


この数十年にわたる目まぐるしい発展の後に日本に起こったことは、Michael Hopfの著書にある以下の名言に集約されていると思います。「困難な時代は強い人間を生み、強い人間は豊かな時代をつくり、豊かな時代は弱い人間を生み、弱い人間は困難な時代をつくる」。各国の歴史の中で何度となく繰り返されてきたように、「豊かな時代」は次第にバブルなどが象徴する「根拠なき熱狂」へと衰退していったのです。

もちろん、戦後の厳しさと比べたら今の日本は遥かに恵まれています。しかし状況は着実に悪い方向へと向かっています。まず、令和が「人口減少の時代」になることはほぼ確実であり、2050年までには人口が20%減少して1億人を切ることが予想されています。また、「アメリカと中国の対立」や「自然災害」、「高齢化」、「長期的な経済停滞」の時代になる可能性も高いでしょう。しかも前提として金利の上昇や円安の悪化、それらによる危機的なまでの債務の膨張などの問題も解消されていないのです。

平成の間は、昭和が残したかつてないほどの発展やそれによる繁栄という遺産を長く享受できたかもしれません。しかし、令和にはもうそんな余裕がないのは明らかです。これからはまた「強い人間」が「豊かな時代」を作っていかなければならないのです。そしてかつての昭和のように、スタートアップこそが日本を再活性化させる立役者になると私たちは信じています。

だからこそ、岸田政権の「スタートアップ育成5か年計画」の発表には本当に感謝しています。スタートアップ界の発展を妨げる様々な要因についてCoralでも長年取り上げてきましたが、同計画ではそれらの多くに焦点を当てた包括的な取り組みが始まる予定です。政策が実行され、今後様々な変化が現れてくることを楽しみにしています。

スタートアップの足枷となっていた行政面の障壁を解消しようと政府が改革を進める一方で、私たちもベンチャーキャピタリストとしての役割から貢献していく必要があります。難しくても重要な課題に挑戦する有望な起業家を見つけ、出資し、支援することがこれからの日本の繁栄に結びつくと私たちは考えています。そのためにも今後は「ジャパニーズ・ダイナミズム」への投資に積極的に取り組んでいく必要があるでしょう。

実際、Coral Capitalではすでに「ジャパニーズ・ダイナミズム」のテーマに沿う企業に何社か投資しています。例えば、投資先の1つであるGrafferでは行政手続きや事務などのDXを通して、行政がより充実したサービスで市民の生活を支えられるよう取り組んでいます。GITAIでは宇宙空間における作業コストを90%以上も削減できる宇宙ロボットを開発していて、実現すればSpaceXのように宇宙産業に革命をもたらすでしょう。京都フュージョニアリングでは日本ならではの技術力や製造力を活かし、核融合テクノロジーを世界中の企業に提供しています。

これら以外にもCoralでは同じくらい野心的なスタートアップに数多く投資し、これからも投資し続けることを使命としています。ですので、令和版のホンダやソニー、トヨタを作ろうと奮闘している起業家の皆様、ぜひCoralにご連絡ください

連載:VCのインサイト
過去記事はこちら>>

文=James Riney

ForbesBrandVoice

人気記事