スタジアム・アリーナ改革「25年までに20拠点」の成否の鍵は?


地元Bリーグチームのホームアリーナ使用が見込めることは大きいが、それでも年間最大39試合の他の日を埋める必要があり、これはなかなか至難だ。市民利用が週末や祝日に入ることも多いが、その場合には使用料も低く抑えられる。音楽興行や商業イベントなども入れられなければ、施設運営者は困窮してしまう。

だが東名阪市場については、施設利用を支える人口も存在し、スポーツ、コンサート会場の需要もあることから、採算がとれる可能性がある。

特に名古屋の場合は、これまで5万人収容のナゴヤドームと1万人収容の日本ガイシホールしか存在せず、1万人から2万人を収容できる施設が無かったことから、ライブツアーでも名古屋を含めず、より施設の選択肢が多い東京や大阪で複数回の興行を打つことが珍しくなかった。いわゆる「名古屋飛ばし」という現象が繰り返されてきたのだ。

また、大相撲名古屋場所の開催計画など、定期顧客を期待できることも好材料である。

2025年夏オープン予定の愛知県新体育館(愛知国際アリーナ)|*画像はイメージです (c) Aichi International Arena
2025年夏オープン予定の愛知県新体育館(愛知国際アリーナ)|*画像はイメージです (c) Aichi International Arena

郊外か? 制限の多い街なかか?


しかし、街なかではあるものの、公園の中に建設されるため、周囲にエンタメを核とする街を創ることには制限がある。

ホテル、飲食、商業施設、博物館、オフィス棟、住宅棟などがスタジアムやアリーナを囲むように建設され、イベントの開催に左右されることなく、常に人の流れが維持できる街を形成することが望ましいが、日本では再開発、新設に関わらず、ビジョン通りの施設を建設することは困難であるのが実情だ。

近隣対策や交通アセスメントなど制限が多く、実際には郊外か付帯施設の新設が難しい街なかのどちらかということになってしまう。

ロスやロンドンのようなスタジアム、アリーナを核とするエンタメ街の構築は、相当難しいことを改めて認識するべきである。

ニーズに合った開発を


ジャパネットグループが主導する「長崎スタジアムシティプロジェクト」については、黒字化の可能性が残されているかもしれない。

2024年の開業を目指して、新幹線・JR長崎駅から徒歩10分ほどの三菱重工長崎造船所幸町工場跡地に建設中の、サッカースタジアムを中心にアリーナ、ホテル、オフィス、商業施設などを備える複合施設だ。

サッカースタジアムが約2万席、Bリーグ規格のアリーナは約6千席と、共にキャパを市場規模に合わせている。また立地、付帯施設が試合有無に関わらず、人のにぎわいを恒常的に呼び込める構成であり、地に足が付いている。

スタジアムやアリーナは、市場ニーズに呼応したサイズ、工事費で建設すべきであり、スマート性も機材で営利化するのでは無く、誰もが使いたがるモバイルアプリを開発することで成否が決まる。

したがって、数を増やすことは目標とせず、あくまで民間が商業的に成立する施設に絞り込んで開発を行い、行政が適切に初期の開発資金を補助、援助することが望ましいのではないだろうか。

連載:スポーツ・エンタメビジネス「ドクターK」の視点
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文=北谷賢司 編集=宇藤智子

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