最初に調達される航空機の1つは、HEXAと呼ばれるLift Aircraft(リフト・エアクラフト)の小型マルチコプターかもしれない。HEXAは、18個のローターを持つ円形のフレームの上に、部分的に囲まれた座席1つが乗っているものだ。Liftによると、HEXAは最長15マイル(約24キロメートル)飛行でき、最大300ポンド(約136キログラム)を運べるという。軍はHEXAを捜索救助、基地周辺の小荷物の運搬、緊急対応に使うことを検討している。2023年に何らかのかたちで空軍が調達することを期待していたと、同社の創業者兼CEOのマット・チェイセンは語った。
HEXAの重量はわずか430ポンド(約195キロ)で、その小ささゆえに比較的手頃な価格となっている。テキサス州オースティンを拠点とするLiftは、初期モデルをレクリエーション用として50万ドル(約6600万円)で提供している。一方、Beta Technologiesは、最大1250ポンド(約566キロ)の貨物または乗員4人を乗せて最長200マイル(約321キロメートル)飛行できる電動飛行機Aliaの価格は400万〜500万ドル(約5億3000万〜6億6000万円)になると予想している。
Agility Primeに参加した他の企業も軍への航空機提供に向けて前進しているという。
北カリフォルニアに拠点を置くJoby Aviationは、Agility Primeを通じて研究開発と無人飛行試験を支援するために最大7500万ドル(約100億円)相当の契約を結んでいる。2022年11月、投資家に対して2024年に軍に航空機を提供することで交渉中であることを明らかにした。そして業界を管理する連邦規則策定のペースが遅いことを理由に、都市型エアタクシーのサービス開始の目標時期を1年遅らせて2025年にすることを明らかにした。4人乗りの電動ティルトローターはヘリコプターのように離着陸し、飛行機のように翼を広げて最長150マイル(約241キロ)飛べるように設計されている。
会長のポール・スキアラはForbesに、早ければ2023年にも軍の利用が始まる可能性があり、機体製造を少数から始めている同社に「航空機の生産性と収益を生み出す場所を確保するための本当に重要な放出弁」を与えていると語った。
バーモントに本社を置くBeta Technologiesは、まずAliaを貨物運搬機として商業化することを目指しており、2023年の基地内試験運用を経て、2024年に空軍が機体を購入すると予想している。Aliaは3月に、従来の滑走路での離着陸ではあるが、空軍パイロットが搭乗して飛行する初の電動航空機となった。BetaはAgility Primeを通じて最大4400万ドル(約58億円)相当の契約を獲得している。
空軍が検討している電動航空機の初期試験ミッションは米国内の試験・訓練場での機材や人員の移動だ。その多くはアクセス道路が険しい遠隔地にある。このミッションが成功すれば、片道30〜90マイル(約48〜144キロ)の「著名な訪問者」の輸送にeVTOLを使用することを想定している。