同社が約5年前に発売したネコ用トイレ「Litter-Robot 3」の価格は545ドルだが、機能をアップグレードした最新モデル「Litter-Robot 4」は699ドルで売られている。ハイテク猫用トイレのメーカーは他にもあるが、ミシガン州に本社を置くウィスカーのCEOのジェイコブ・ザプキ(34)は、同社が2005年以来黒字を維持していると語る。
「我々は、伝統的な製造業の会社と同じやり方で、事業を拡大させてきた」と、ザプキは話す。
ウィスカーCEOのジェイコブ・ザプキと創業者のブラッド・バクスター(Whisker)
元マーケッターのザプキは2022年に同社の創業者で会長のブラッド・バクスターからCEOの仕事を引き継いだ。創業者のバクスターは、ウィスカーの株式の43%を保有し、ザプキが7%、残りの50%を投資会社のポンデラホールディングス(Pondera Holdings)を中心とした投資家が保有している。
ウィスカーの創業のきっかけは、現在56歳のバクスターが、1999年に貰い受けたネコの世話に苦労したことから始まった。「フンをスコップで掃除するのを忘れていると、ネコたちは私に抗議した」と彼は回想する。以前はフォードの工場に勤務し、その当時は自動車メーカーのコンサルタントを務めていたバクスターは、この問題を自力で解決することにした。
彼は、ペットショップでLitterMaid社の初期の自動トイレを購入したが、固まった砂を押し出す仕組みが気に入らなかった。そこで彼は、フンが混じった砂をふるいにかけて、フンと砂を分離することを思いついた。特許を検索してみると、すでにこのアイデアを思いついた人がいることが分かり、その発明者に連絡を取って最終的にライセンス契約を締結した。
3万5000ドルで起業
そして、父親を説得して3万5000ドルを出資してもらい、最初の製品を世に送り出したのだった。その製品は、猫が中に入って用を足すのに十分な大きさで、センサーが猫が立ち去ったことを感知すると、箱が回転してフンをふるい落とす仕掛けだった。
しかし、多くの起業家のプロジェクトと同様に、彼のビジネスも収益面で苦戦した。「35万ドル以上を投資した5年目くらいから、妻が私の正気を疑うようになった」とバクスターは話す。その当時の製品は、サイズが大きすぎて、顧客の支持を得られなかったという。