確かに、スペシャリストになることにはメリットがある。しかし、複数の分野にまたがって仕事をし、関わった分野を融合していくことで大きな成果を残す働き方にも、非常に高い価値がある。
ここでは後者のケース、つまり、マルチプレーヤーとして価値ある人材になるための7つの方法を紹介しよう。
1. 大局的な視野に立つ
難なく成果を出すタイプの人には、「サイロ化」した部署や組織図にとらわれない見方をする能力が備わっている。個々の目標ばかりを注視することなく、あえて一歩下がり、勤務先の企業やその事業について、全体的な視点を持つようにしているのだ。これにより、各部署の運営状況や、他の部署とのやりとり(それがある場合もない場合も含めて)が理解できる。
2. 常に注意を払い、チャンスの芽を逃さない
19世紀の米国の思想家ヘンリー・デイヴィッド・ソローが残した名言に「大事なのは、自分が目を向けるものではなく、目に入ってくるものだ」という言葉がある。意識を活性化し、チャンスに注意を払うようにすれば、あらゆるところに、自分を触発してくれるものがあることに気づくだろう。
マルチプレーヤーの中でも最も優秀な人たちは、信じがたいほど鋭い観察眼を持っている。アイデアや思考という「点」を線で結び、独自の視点から可能性を思い描く。彼らが、企業やクライアントから高い評価を受け、イノベーターや独創的な発想の持ち主として重用される裏には、こうした着眼点がある。
3. 「もし〇〇だったら?」と自分に問いかける
筆者には、こういう口癖の友人がいる。「『もし〇〇だったら?』という問いかけは、『よしやってみよう』という答えにつながる」という言葉だ。これを仕事の場面に当てはめると、この問いかけをすることで、これまで知られていなかった(あるいは顧みられなかった)可能性や解決法が生まれるきっかけになるかもしれない。これは、「今までずっとこうやってきたから」という発想法のアンチテーゼと言うべきもので、前向きな可能性の検討に道を開くはずだ。
4. さまざまな部署を渡り歩いたキャリアを自分の強みとする
複数の業界や職能で働いてきた人には、同じ業種でずっと働いてきた同僚にはない、ユニークな視点があるはずだ。それこそ、その人の最大の強みだ。多様な経験があるからこそ、異なる職能やプロジェクトのあいだに共通点を見いだす方法を、身をもって理解しているはずだ。また、異なる部署やプロジェクトに属している従業員を結びつけたり、相互交流を促したりすることも容易にできるだろう。これにより、部署間の隔たりを埋める役割も果たせるはずだ。
5. 人を助け、仲間に入れようと積極的に動く
常に人を助け、仲間に招き入れる方法を考える発想が身についている人は、生まれ持っての「つなぎ手」だ。この能力を活用すれば、部署をまたいで実績を残すことも容易なはずだ。通常であれば交流のない同僚を他の社員に紹介し、複数の部署が力を合わせられるようなアイデアを提案し、職務をまたいだプロジェクトに協力を申し出よう。
6. 自分のアイデアを伝える
周囲を観察するのは良い心がけだが、その観察で得た知見を人に伝えられれば、なお良いだろう。世界一のアイデアも、口に出されないままでは、その価値を失ってしまう。勤務先の会社で、あるいはクライアントとのやりとりで、自分のアイデアが生きるチャンスがあると踏んだなら、声をあげよう。
7. 先を読み、率先してリーダー役を務める
部署をまたいで活躍するマルチプレーヤーのなかでも、特に評価が高い人たちは、リーダーになってほしいと頼まれるまで待つようなことはしない。むしろ、率先してリーダー役を担うことを申し出る。
こうした行動には、2つの効果がある。1つは、臨機応変な対応をアピールできる点。もう1つは、人を率いる能力を示せるという点だ。
ニーズを予想し、全体的な視野に立つことは、部署をまたいで活躍する、高い価値を持つマルチプレーヤーには欠かせない要素だ。そして、ごく自然に点と点を線で結び、他の人が気づかない可能性を見いだし、人を助け仲間に入れることをいとわず、観察から得られた知見を伝え、実行に移す人であれば、その示唆に富む洞察力や、部署にとらわれない影響力によって、高く評価されることだろう。
(forbes.com 原文)