ビジネス

2022.12.28 11:00

世界目線のピッチコンテスト、貸倒率わずか0.8%途上国向け小口融資が最優秀賞

ピッチコンテスト「DIVERS」に登壇する五常・アンド・カンパニーCFO堅田航平氏

12月14日、起業家支援を行うフォースタートアップスは、ピッチコンテスト「DIVERS」を開催した。

このピッチでは、世界で勝てるスタートアップを生み出すことを目的に、書類選考などを経て参加する企業を決定。



・Uprising Digital
・Hardware, Material & Frontier
・Health, Bio & Wellness
・Ecology & Energy

の4テーマに分かれ、国内外の投資家や経営者ら40名以上が、最終選考に残った31社の事業を審査した。5分間のプレゼンと3分間の質疑応答で構成され、審査項目は「世界基準か否か」を前提に市場、チーム、プロダクト・技術、ビジネスモデルの4つ。

DIVERS開始に先立ち、経済産業省による特別講演が行われ、同省のスタートアップ創出推進政策統括調整官、吾郷進平氏はこう語った。

「今後5年間のスタートアップ育成支援の最大のキーワードは、グローバルです。日本の起業家が世界市場を視野にビジネスを展開する。世界の人材や資金が日本のスタートアップに集まる。ひいてはトヨタやソニー、AppleやGoogleのような世界的企業が日本から成長していく。こういったことを実現するため、政府も、世界に通用する人材の育成、制度の世界標準化などを強化していきます」

こう述べたうえで、世界目線のアントレプレナーを増やしていくための施策として、毎年起業家ら20人ほどをシリコンバレーに派遣をしている始動プログラムについて言及。

「来年からは、5年間で1000人に拡大と、これまでの10倍にし、行き先もシリコンバレーだけでなく東側海岸やアジア・欧州に広げていく」とした。

それでは、各部門でテーマ賞に選出された企業、そして最優秀賞に選ばれたスタートアップを紹介しよう。

アジア途上国に無担保で1000億円の小口融資


・Uprising Digital

データを活用した小売店舗売り場改善や、スマートフォンによる住宅ローン手続きアプリの提供など、アナログ領域のデジタル化に挑む企業が登壇。そのほか「スマートコントラクト(ブロックチェーン上での契約自動化を行う仕組み)」の開発を支援するWeb3のインフラ事業者もプレゼンした。

テーマ賞、DIVERS賞(最優秀賞):五常・アンド・カンパニー

五常・アンド・カンパニー
CFO堅田航平氏

五常・アンド・カンパニーハ2014年に創業。同社は開発途上国向けに、小口金融サービス(マイクロファイナンス)を展開する。1〜2年の期間、無担保で300〜500ドル(約4万〜6万6000円)の貸付を行う。8社のグループ会社を通じ、インド、ミャンマー、カンボジア、スリランカ、タジキスタンに1000億円以上の融資実績がある。

マイクロファイナンスの潜在市場は40億人で、現時点で不足している融資額は世界で100兆円に上る。2030年までに50カ国1億人にサービス拡大を目指す。

貸倒率はグローバル平均2%だが、五常・アンド・カンパニーはわずか0.8%。途上国ではローンの申込書が紙でやりとりされ、特に国土の大きな国では持ち運びに時間がかかるため、地域の支店で与信判断が行われるケースが多い。

同社はテクノロジーを用いてペーパレス化することで、データをすぐに送付でき、与信判断能力の高い本社で審査することができる。
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文=露原直人

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