自殺した子供のヌード写真で恐喝行為を行うサイバー犯罪者たち

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暗躍する「資金の運び屋」


さらに、米国人がこれらの犯罪に関与するケースも増えている。FBIの子供を対象とした恐喝犯罪を調査する部門が行った調査によると、米国人はしばしば マネーミュール(Money mule)と呼ばれる「資金の運び屋」の役割で、犯罪組織に雇われている。

これらのメンバーは、簡単に金儲けができるというふれこみで募集されることが多く、報酬の見返りに犯銀行口座や送金アプリのアカウントを作るよう依頼される。犯罪組織は、彼らのアカウントを経由して資金を受け取ることで、資金の流れを不明瞭にすることが可能だとFBIは述べている。

FBIの捜査令状には、フェイスブックから入手した、セクストーション犯罪への関与が疑われる2人のユーザー間で送られたメッセージの内容が記されていた。一方のユーザーのIPアドレスはナイジェリアのラゴスを経由したもので、もう一方はケンタッキー州を拠点とする、マネーミュールと疑われる人物のものだった。

ケンタッキー州の人物は、恐喝の被害に遭って自殺した14歳の少年について、「800ドルを失うことは、彼にとってあまりにも辛すぎたようだ。私は彼のことなど、まったく気にも留めないが」と書いていた。

2人はまた、米国の銀行口座や決済アプリへの送金について話し合っていた。ナイジェリアのユーザーは、相手がペイパルや米国内の個人間送金サービスのZelleを利用することを好んだが、なかでも特に、Cash Appの利用を勧めていた。

Cash Appは、フォーブスの別の記事でも売春やセクストーション関連の取引で利用されるアプリとして紹介された。このアプリは、ナイジェリアでは利用でないが、素早く簡単に資金のやりとりができるため、犯罪者のマネーロンダリングに使用されると警察は述べている。

Cash Appの運営元のジャック・ドーシーが率いるフィンテック企業のブロック(旧スクエア)は、この記事の公開時点でフォーブスの取材にコメントしていない。同社は以前、プラットフォーム上での犯罪行為を容認せず、疑わしい取引を監視するために数多くの措置を講じていると述べていた。

ペイパルの広報担当者のCaitlin Girouardは、「不正な金融取引や性的搾取に対してゼロ・トレランスのポリシーを持っている」とコメントした。Zelleの運営元のアーリーワーニングサービス(Early Warning Services)の広報担当者のMeghan Fintlandは、セクストーションを行う犯罪者たちの間で、同社のツールが広く使われているという指摘に、全く同意できないと述べた。

今回のFBIの調査では、これらのセクストーション犯罪が、より広範で暴力的な犯罪エコシステムの一部になっていることも示唆された。捜査令状には、2人の犯罪者が、この詐欺に関与したもう一人の女性の殺害計画を議論していたことが記されており、彼らのうちの一人は、「人を殺すことは怖くはない。捕まるのが怖いんだ」というメッセージを送っていた。

FBIは、この事件に関するこれ以上の詳細をフォーブスの取材に明かさなかった。容疑者は起訴されていないため、フォーブスは関係者の名前を伏せている。

forbes.com 原文

編集・翻訳=上田裕資

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