すでに試作は最終段階を迎えており、2023年3月には全国のナチュラルローソンで発売予定だ。
コンビニに缶のクラフトコーラが並び、もっと手軽に楽しめる時代へ──。創業者の“コーラ小林”こと小林隆英に、その狙いを聞いた。
パイオニアのはずが、薄れる存在感
2022年の初め、コーラ小林は伊良コーラの将来を考えていた。2018年の創業から4年、「クラフトコーラ」を世に送り出したパイオニアではあるものの、市場が拡大するにつれて後発ブランドが200近く出てきている現状があった。
この年の4月に放送されたテレビ番組で、クラフトコーラの特集が組まれたときのこと。司会のタレントが、数あるクラフトコーラを試飲していたものの、伊良コーラはピックアップされなかった。
これを見て反省したという小林。伊良コーラの存在感が薄れてしまった理由に、思い当たる節はあった。
伊良コーラは2021年、渋谷に2号店を出した。下落合の本店に加えて新たな店を出したことにより、人的リソースを店舗運営に注がざるを得なくなった。店舗で消費者を満足させることは重要だが、それに奔走するあまり、店舗運営以外に展開していくメーカーとしての成長が鈍ってしまったのだ。
そんな中で、起業家の友人に指摘された。「自分で新しくつくった市場がこんなに拡大しているのに、その割にブランドを成長させられていないのは、経営者の力不足だ」と。
ただ、小林には野望があった。「伊良コーラをコカ・コーラやペプシに並ぶ、世界三大ブランドにしたい」。だからこそ、この指摘を受けて一歩前に進めた。
「売上の大きさが、世の中に与えている価値と比例しているとすれば、現状はまだ大きな価値を与えられていない。これからは、もっと多くの人に商品を届けていきたい」
そう考えたとき、挑戦するべきは「缶」のコーラだった。