テクノロジー

2023.01.03 13:30

「火星に膨張式宇宙船で行く」とロッキード・マーチン副社長は語る

Getty Images


ロッキード・マーティンによると、プロトタイプの構造に使われている材料は重量比で鉄の5倍、アルミの10倍の強度がある。また、繊維構造の材料特性は長期のクリープ(変形)や破砕に関しても金属よりも影響を受けにくいという。
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地球の大気圏外に出ると、金属製の構造物とは異なり、膨張式の宇宙船や住居は容積を拡大することができるため、生活や仕事のためにより大きなスペースを生み出すとシャイアマンは説明する。

膨張式は他の住居技術よりも質量あたりの容積が大きいとも話す。

またロッキード・マーティンによると、このような拡張可能な住居は、同じ容積であれば金属製よりも軽い。その結果、放射線防護を追加することができ、重要な安全性向上を金属製の構造物よりも提供できるという。また、膨張式構造は金属製の宇宙船よりも深宇宙の銀河宇宙放射線を遮断できると考えられている。
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微小隕石や宇宙ゴミのような高速・高速度の小粒子との衝突では、膨張式は金属製構造物と同等かそれ以上に安全だとシャイアマンはいう。

プロトタイプの素材は?


通常、中心部は金属製で、繊維構造の材料は基本的に創意工夫に富む布の織物だとシャイアマンは話す。素材はそれほど変わっているものではなく、どう組み合わせるかが重要なのだという。

新しい材料技術と新しい分析ツールによって、このような膨張式の宇宙住居の技術がようやく成熟してきたとシャイアマンは語る。しかしその推進力は質量あたりの容積を増やすことであり、膨張式技術はそれを容易に提供することができると指摘する。

「容積は王者だ」というのがシャイアマンの考えだ。人類がより遠い宇宙で、より長く暮らさなければならないほど、より多くの容積が必要になるという。「地球低軌道、月表面、月の周辺、あるいはこれまでよりもさらに遠い太陽系まで、宇宙での長期的住居は将来、膨張式になると考えている」とシャイアマンは話す。

「私たちはこのような住居で、月を超えて火星へと人類を送るというビジョンを持っている。そして、それができない理由は何もない」

forbes.com 原文

翻訳=溝口慈子

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