ロッキード・マーティンによると、膨張式の住居は金属製の固い素材で表面を覆う従来の構造よりも軽量で容積が大きく、少ない打ち上げ回数で宇宙環境を構築する能力をもたらすという。
膨張式の住居は有人ミッションではまだ極めて新しい選択肢だが、ロッキード・マーティンの月探査プロジェクト担当副社長であるカーク・シャイアマンは、膨張式の宇宙船がそのうち火星やその先に宇宙飛行士を送るために使用されるだろうと語った。
元国際宇宙ステーション(ISS)プログラムマネージャーであるシャイアマンは、その主張を裏づけるものとして米航空宇宙局(NASA)の膨張式住居モジュールBEAM(The Bigelow Expandable Activity Module)の耐久性と成功を挙げる。BEAMは設置から約6年経った現在でも機能し、ISSに取りつけられている。
BEAMは2年間の寿命を想定して設計されたものだとシャイアマンはいう。このような構造の耐久性は、宇宙飛行するようになる私たちの将来にとって重要だと指摘した。
ロッキード・マーティンといくつかの競合他社はすでに新しい膨張式技術を積極的に開発している。
12月初めにロッキード・マーティンは膨張式住居のプロトタイプのテストに成功し、2020年代の終わりまでに月面で使用されることになるだろうと同社は考えている。このテストは、米コロラド州リトルトン郊外にある歴史に残るタイタンロケットのエンジン燃焼試験台で行われ、すべての要件と期待を上回った。シャイアマンはこの新しいプロトタイプが月探査の次の段階で使われることを想定している。
シャイアマンによると、プロトタイプは月面に設置される住居の3分の1の大きさだ。
テストでは、膨張式プロトタイプを限界まで膨らますために通常の窒素タンクローリーを使った。
「タンクローリーを試験場に運び込んで、プロトタイプに高圧窒素を注入し始めた」とシャイアマン。目標は膨張式プロトタイプが破裂する前に約180psiの圧力に到達することだったが、実際には約285psiを達成することができたという。