「最善の中の最善」を掲げての船出
ともにダイムラーのエンジニアだったヴィルヘルムとカールのマイバッハ親子が、自らの名を冠した自動車メーカー“マイバッハ・モトーレンバウ”を設立したのは、いまから100年以上も時を遡った1918年のこと。彼らが掲げた理想は極めてシンプルで、「最善のなかの最善をお届けする」というものだった。
マイバッハ親子は、数々のモデルを通じてこの理想を現実のものにしていった。彼らの第1作目である22/70 HP W3は全長約5mの堂々としたボディに排気量5.7リッターの余裕ある直列6気筒エンジンを搭載。しかも、広々としたキャビンは最上級のレザーやウッドで覆われていたという。
設立からおよそ40年を経たころ、ダイムラー・ベンツはマイバッハ・モトーレンバウを買収してその傘下に収めた。それ以来、ダイムラーは半世紀近い歳月をかけて、開発を中止していたマイバッハ再生に向けた準備を進める。これが、ようやく現実の製品として世に送り出されたのは2002年のことで、この年、マイバッハ62とマイバッハ57がデビューした。
「最善のなかの最善をお届けする」という理想は設立当時から完璧に継承されていて、最高級の素材で覆われた広々とした室内、快適な乗り心地や卓越した静粛性、そして余裕ある動力性能とともに優れた安全性が確保されていた。
メルセデス・ベンツとの融合でさらに進化
そして2014年にはMercedes-Benzのサブブランド“Mercedes-Maybach”として再出発することになる。具体的には、それまでの専用ボディからSクラス・ロングモデルのホイールベースを延長したボディに一新。その佇まいは、全体的なプロポーションはメルセデス・ベンツ Sクラスとよく似ていながらも、愛好家にとってはボディ全体から滲み出るようなラグジュアリー性が感じられる作品となった。ビジネスパーソンにとっての成功の証ともいえる堂々とした佇まい、そして最高級の素材で作り込まれた快適な室内空間といった伝統も受け継がれている。
さらに当時最新のSクラスをベースにすることにより、メルセデス・ベンツが誇る最先端の安全技術や走行性能を獲得。メルセデス・マイバッハとしてさらなる進化を遂げることになったのだ。
マイバッハ誕生からちょうど100年目の2021年には2代目となるメルセデス・マイバッハが登場したことも目新しいニュースのひとつ。
メカニズム面では最新のメルセデス・ベンツ Sクラスをベースとするいっぽう、内外装の豪華な設えにはさらに磨きをかけることにより、メルセデス・マイバッハとして究極のラグジュアリーカーを体現するモデルに仕上がった。
その基本となる室内空間は、メルセデス・ベンツ Sクラスのロングホイールベースモデルよりもさらに180mmホイールベースを延長することで、圧倒的な後席の居住性を実現。3,395mmとされる最新のメルセデス・マイバッハ Sのホイールベースは、旧型さえも30mm近く上回るものだが、この延長分をすべてリアのレッグスペース拡大にあてていることも注目に値する。
この結果、最新のメルセデス・マイバッハ Sクラスは国際線のファーストクラスにも匹敵する広々とした室内空間を手に入れるとともに、バックレストのリクライニング角度を最大43.5度に設定することで、ゆったりと寛げる環境を整えたのである。
この43.5度というリクライニング角度は、実際に試してみるとまるでベッドに身体を横たえているような感覚で、忙しい毎日を過ごすビジネスパーソンからは、移動中につかの間の休息を得る空間として歓迎されることだろう。
快適性に加え、くつろぎの空間を洗練させる
エグゼクティブを満足させる最上級の素材をふんだんに使用して、飛行機のファーストクラスや高級なホテルの室内のような洗練された空間を作り上げている点がメルセデス・マイバッハの特徴だ。それゆえビジネスにおいて不可欠な「移動」の時間の質を高めることはメルセデス・マイバッハに乗る大きなメリットであるが、最新モデルではこの点がさらに充実していることが特筆に値する。
メルセデス・マイバッハの後席はただ居住空間を広げただけでなく、シートに用いられる素材なども徹底的に吟味。シートを最高級のナッパレザーで包み込むと同時に美しい木目のウォールナット(有償オプション)などをトリムに用いることにより、ラグジュアリーでありながらも落ち着いた空間を生み出している。くわえて後席が左右独立式のファーストクラスパッケージをオプションでオーダーすればクーリングボックスや専用シャンパングラスの収納などが装備されるので、移動中もくつろぎのひとときを過ごすことができる。
もちろん、責任ある立場である経営者にとって重要な安全装備や走行性能の進化にも抜かりはない。メルセデス・ベンツが誇る最新のレーダーセーフティパッケージが標準装備されるのは当然のこと。万一のときには後席に標準装備のエアバックに加え、シートベルト自体がエアバッグのように展開するリアベルトバッグも作動、それにラグジュアリーヘッドレスト、ベルトフォースリミッター付シートベルトテンショナーなどが衝撃を優しく受け止めることで、乗員が負傷するリスクを最小限に留めてくれるのだ。
本物を知る人ほどマイバッハを選ぶ。最高峰たる所以。
現在、考えられる最高レベルの快適性、安全性、そして走行性能を手に入れたことで、「最善のなかの最善をお届けする」というブランドの伝統的な思想を具現化したメルセデス・マイバッハ Sクラス。
ブランドの誕生から連綿と引き継がれる最高峰へのこだわりが作る本物。それを所有することによるビジネスタイムの充実。どんな格式ある場所へ赴いたとしてもその場に映える堂々とした佇まい。ビジネスにおけるメリットは数え切れず、エグゼクティブを満足させるラグジュアリーサルーンといえるだろう。
メルセデス・マイバッハ
S 580 4MATIC(ISG搭載モデル)
メルセデス・ベンツのフラッグシップ、最新のSクラスのロングホイールベースモデルより、さらにホイールベースを180mm延長。リアドアは電動で開閉。オプション設定でアクティブロードノイズキャンセレーション機能を搭載可能、後席の居住性を向上させた。4.0L V8直噴ツインターボエンジン。【MP202301】メーカー希望小売価格29,600,000円~。
※写真はオプション装着車。