ただ、私たちはさまざまな食品からも、ビタミンDを摂取している。同紙のこの記事も、「日光から(ビタミンDを)取る必要はない」とするニューヨーク大学医学部のデボラ・サーノフ教授(皮膚科)の言葉を引用している。ビタミンDのサプリメントを買う必要はないというのだ。
筆者も以前、フォーブスに同様の記事を投稿しているが、研究者たちはビタミンDのサプリメントについて何年も前から、何千人もの協力を得た大規模な複数の調査を行っており、以下の結果を公表している。
ビタミンDサプリメントは──
・骨密度を上昇させるものではない。また、骨粗鬆症リスクを低下させるものでもない
・心疾患、体重増加、気分障害、多発性硬化症、または代謝性疾患を予防するものではない
・骨折を予防するものではない(2万6000人を対象に行った5年間の追跡調査の結果)
だが、前述の記事を書いたレイチェル・ピーチマン記者は、なぜかサプリメントの摂取を勧めているようだ。医者から推奨のコメントを得ることができなかったとみられ、代わりに「特に冬の時期、サプリメントはほとんどの人にとって、役に立つと考えられる」との栄養士の言葉を紹介している。
当然のことながらこの記事には、サプリメントを推奨する根拠となる研究結果は引用されていない。それは、記事に書かれているのは科学によって証明されたことではないからだ。
ただ、公平のために言っておくと、記事には「すべての人に一律に推奨することはできない」とする栄養士の発言が、補足説明として付け加えられている。つまり、実際にはサプリメントは、ほとんどの人にとって役に立つものではないのだ。
今年7月、カリフォルニア・パシフィック・メディカル・センターのスティーブン・カミングス医師らは、ビタミンDの摂取に関する論文を発表している。