台湾での業務や現地との連携はEriが、日本での展開や戦略の策定はMoeが中心となって進めている。かつてゼミの先輩後輩だった二人は、今はビジネスパートナーとしてその絆を深くしている。
「Sister」と共に ゆるく対等な関係性
DAYLILYでは顧客やスタッフなど、ブランドに関係する人を「Sister」と呼んでいる。その理由をMoeはこう語った。
「DAYLILYの立ち上げ時に海外ブランドをリサーチしたときに、ブランドとユーザーの間に上下関係がないのはとても魅力的だと感じました。私たちも関わるすべての人とフラットな関係性を築いていきたいと思いました。
Moe:「Sisterという呼称を思いついたのは、私の高校時代が関係しています。キリスト教系の学校だったので、校内にいる修道女の先生たちのことをSisterを意味するフランス語『マスール』と呼んでおり、その言葉が象徴する対等な関係性がとても良いなと感じていました」
小林 百絵(Moe)
Sisterとのつながりは、もちろん大切にしている。しかしMoeは、Sister同士が強固な結びつきを持つコミュニティを形成するつもりはあまりないという。
Moe:「私たちの願いは、DAYLILYを生活に取り入れてくれているSisterたちに、それぞれの人生を気持ちよく過ごしてほしいということ。Sister同士がブランドを通じて間接的に、ゆるく対等につながっていけたらいいなと思います」
女性の一生に寄り添うブランドを世界へ
8種類の和漢植物をブレンドした「Uplift Ginger Syrup」と、杏仁茶
台湾の街中にある漢方薬局のように、自分たちの健康を見守ってくれる存在としてDAYLILYを認識してほしい。そんな想いから、二人は店舗の存在を重視している。
最近では、大阪・心斎橋PARCOや福岡・博多マルイに「DAYLILY KAMPO STAND」として、漢方スタンドという新形態の店舗を出店した。
Eri:「漢方スタンドは、カフェで過ごすようにDAYLILYの商品や台湾の食べ物を楽しんでいただける場所です。台湾には町中に漢方スープ屋さんがあって、多くの人がそれを飲んで体調を整えているので、日本にも同じような場所があったらいいなと思って作りました」
今後は日本と台湾だけでなく、さらなる海外展開にも取り組むつもりだ。
台湾では、2023年1月にポップアップストアを展開する。それ以外のアジア圏、欧米には、越境ECの活用や現地のセレクトショップへの出店を通じて、世界中の人々がDAYLILYの商品を手に取れる環境を整えて整えて行きたいという。
DAYLILYの刺繍が施されたチャイナシューズも人気だ
Moe:「私たちは初潮や更年期などのタイミングにフォーカスした商品も扱っていますが、ラインナップはまだ不十分です。幅広い世代の女性に毎日を気持ちよく過ごしてもらえるように、あらゆるライフステージに寄り添った商品を充実させていきたいです」
女性の一生に寄り添い、共に歩いて行きたい──。二人は、アジアならではの漢方文化を世界へ届けるブランド戦略を思い描く。