ビジネス

2022.12.30 12:50

台湾発・漢方ブランドDAYLILY が顧客を「Sister」と呼ぶ理由

DAYLILY共同創業者 小林 百絵(右)と王怡婷


大学院の同窓生からビジネスパートナーへ


共同創業者であるMoeとEriの出会いは大学院時代に遡る。二人は同じ研究室に所属していた。
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一学年上のMoeが先に卒業して大手広告代理店に入社したが、就職後も頭の中からずっと離れないものがあった。それは、Eriの研究テーマである漢方のことだ。

Moe:「お父さんが台湾で漢方薬局を営んでいるEriちゃんからは、台湾の人々がいかに日常生活に漢方を取り入れているかを教えてもらいました。日本とは全く異なるライフスタイルがとても印象的でした」

Eriは自身の研究テーマについてMoeに何度か相談しており、それはMoeの卒業後も続いた。修士論文として執筆したのは、日本に漢方を根付かせるプロジェクトだった。「このアイデアで起業してみたい」とは思ったものの、自分だけでは心もとないと感じ、卒業後はMoeと同じく広告代理店へ就職する道を選んだ。
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そんなとき、今度はMoeの方からEriに会いたいと連絡があった。

Eri:「いきなり先輩に麻布十番のカフェに呼ばれて、何だろう?と思いました。するとMoeさんは企画書を出して『漢方のライフスタイルブランドを一緒に立ち上げよう』と誘ってくれたんです。先輩が一緒なら心強いと思い、その場で『やりましょう!』と返事をしました」

ブランド名は、Eriが修士論文で名付けたプロジェクト名「DAYLILY(デイリリー)」を使うことにした。デイリリーとはユリの花の一種であり、台湾では漢方として使用されている。ユリは女性を象徴する花であり、オレンジ色が二人の描くブランドのイメージに合致したことなどが即決の背景だ。

DAYLILY Eri
王怡婷(Eri)

台湾1号店の誕生 日本で広がる反響


結局二人は1年弱で広告代理店を退職し、ブランド設立の準備に取り組み始めた。

最初に手応えを感じたのは、2017年のクラウドファンディング実施時だ。「一号店はブランドアイデンティティである台湾に出店したい」と考えた二人は、その出店資金を募ることにした。クラウドファンディングという手法を選択したのは、自分たちだけではなく、応援してくれる人たちと一緒にブランドを作りたいという想いがあったからだ。

結果は予想を大幅に上回った。日本に漢方の文化を根付かせたいという二人の想いに共感してくれる人の数は、想像以上に多かったのだ。

無事に一号店の出店には成功したが、ことは簡単には運ばなかった。

Eri:「最初はすごく暇だったんです。お店の中で、二人でただお客さんを待つだけの日々が続きました。でも次第に、現地の台湾人の方や台湾に駐在している日本人の方が知ってくださり、台湾のガイドブックに載ると日本人観光客の方も来てくださるようになり、徐々に認知が広がっていきました」

台湾での評判をバックに、日本ではポップアップストアの出店を軸に事業展開を計画した。最初にポップアップストアを出店した表参道では、想像をはるかに超える反響があったという。

Moe:「一般のお客様だけではなくメディアやバイヤーにも注目され、百貨店や商業施設からもポップアップストアの出店依頼をいただくようになりました。その後、台湾のライフスタイル型書店である『誠品生活』が日本に進出するタイミングで私たちに声をかけてくださり、COREDO室町テラスの『誠品生活』内で日本初の常設店の出店が決まりました」


台湾と日本の両方で、求められるように事業を成長させていった。創業から4年弱がたった今、DAYLILYでは合計7つの店舗を持ち、45人の従業員を抱えている。
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文=一本麻衣 編集=督あかり 写真=小田駿一

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