フランスでコンドームは現在も、医師らの処方箋があれば社会保険で払い戻しを受けられる。詳しく言えば、基礎医療保険で購入費の6割が還付され、補足的な保険に入っていれば全額還付される。
フランスではこれに先だち、若い女性が緊急避妊薬(アフターピル)を薬局で無料で入手できるようにする法案も議会で可決されている。フランスの議員らはここ数年、望まない妊娠数の抑制や性感染症の拡大阻止に向けて、ホルモン剤の経口避妊薬とコンドームの両方について入手を容易にすることに取り組んできた。
広がる性感染症、各国が対策強化
性感染症は米国でも広がっている。2021年の新規梅毒患者は前年比26%増え、エイズウイルス(HIV)感染者も16%増えた。
性感染症の拡大を受けて、米国の公衆衛生当局は新たな予防策を呼びかけている。米疾病対策センター(CDC)は「HIVのまん延を防ぐのに必要なリソースを地域社会に提供する費用対効果の高い構造的介入」として、コンドーム配布プログラムの拡大を提言している。CDCはあわせて性感染症の検査も推奨しており、無料検査を実施しているクリニックなどの施設を検索できるようにもしている。
もっとも、米国ではありがちなことだが、地方レベルで行われているのは政策のパッチワークになってしまっているのが実情だ。たしかにコンドームや性感染症検査を無料で提供しているクリニックもあるが、とくに地方ではそもそもクリニックを利用できるかどうかが問題になることもある。
米国の公衆衛生当局は、性感染症の検査を促進するために家庭用検査キットの活用も推進している。だが現状ではこうした検査は高額になることが多く、保険による払い戻しも受けられないのが普通だ。一方でカリフォルニア州は今年、全米で初めて医療保険会社に家庭での性感染症検査を保険の適用対象にすることを義務づけており、今後、同様の動きがほかの州にも広がるかもしれない。
英国では、25歳未満のほとんどは性感染症の検査を無料で受けられる。ただ、薬局での無料検査は現時点では提供されていない。コンドームは家族計画クリニックや地元の開業医から無料で入手できるが、英国医師会は政府に対して、すべての薬局でコンドームを無料で提供するよう求めている。
欧州連合(EU)の大半の国では、性の健康を専門とするクリニックで無料でコンドームを入手したり、性感染症検査を受けたりできるようになっている。ただ、薬局やプライマリーケア医では、あらゆる年齢層を対象とした無料のコンドーム配布や性感染症検査はあまり行われていない。
米国と同じように、欧州でもホルモン剤の避妊薬の使用には処方箋が必要になる国が多いが、店頭で購入できるようにしている国も増えてきている。それには英国も含まれる。
アフターピルに関しては、ほぼすべてのEU加盟国で店頭購入が可能になっている。ホルモン剤の避妊薬の自己負担は欧州各国で基本的に最小限で済むようになっており、専門のクリニックなどで無料で入手できる場合も多い。
(forbes.com 原文)