1時間あたり3万ドルの利用料
ムーディーズは、ビスタの売上が2022年に前年比44%増の23億ドルに達し、2023年には29億ドルに達すると予測している。ただし、利上げによって成長が抑制される可能性もある。
ビスタは1月に社債を発行して10億ドルを調達したが、借入コストが急増し、今後数年間で負債が膨らむ可能性もある。「金利の上昇局面でレバレッジが高まれば、キャッシュフローの創出と債務の返済能力に支障をきたす可能性もある」とムーディーズのアナリストのオリビア・ジアニは述べた。
一方、グローバル7500の価格は1機あたり7500万ドル以上と高額だが、フローアは価格に見合う十分な価値があると述べている。この機体を用いたフライトで、顧客は1時間あたり2万5000ドルから3万ドルを支払うが、これは、同社のフライト全体の平均価格の1時間あたり1万5000ドルを大きく上回る。
競合の買収で業界4位に浮上
フローアが2004年に設立したビスタは、買収を通じて事業を拡大したが、そのうち最大のものが、2022年第2四半期に実施したドイツのエアハンブルクと米国のジェットエッジ(Jet Edge)の買収だ(同社はその取引条件を明らかしていない)。S&Pは、この買収を受けてビスタの2022年のEBITDA 予想を前年比50%増の7億5000万ドルに引き上げた。
過去5年間で保有機を5倍以上に拡大したビスタは、今や世界のビジネスジェットのリース会社のトップ4に数えられる。この業界の1位は、ウォーレン・バフェットが支援するオハイオ州のネットジェッツ(NetJets)で、800機以上を保有している。2位は、投資会社ディレクショナル・エビエーション傘下のフレックスジェット(Flexjet)、3位にはニューヨーク証券取引所に上場するウィールズアップ(Wheels Up)がつけている。
フローアは、2030年までにビスタの保有機数を現状の約3倍の1000機以上にすることを見込んでいる。
ビスタの急成長は、パンデミックによる民間航空会社のキャパシティ削減の追い風を受けたとフローアは話す。同社は、顧客が1年間に飛行できる時間数を指定した3年契約を提供しており、過去10年間に40億ドル以上を投資し、グローバルに事業を拡大した。
フローアは、競合他社を注意深く観察しているが、ビスタを業界のトップにすることにはあまりこだわっていない。その代わり、世界中の社用ジェット機のオーナーを説得し、航空機を所有するのではなく、定額制パッケージの購入に切り替えさせることに注力している。
ビスタが保有する機体の数は、世界中の企業が所有する9000機のビジネスジェットの約4%程度で、まだ成長の余地が大きいという。「私たちは、まだ市場の表面を削っているに過ぎないのだ」とフローアは語った。
(forbes.com 原文)