格付け会社のムーディーズは、ドバイを拠点にプライベートジェットのリース事業を展開する同社の2022年のEBITDA(利払い・税金・減価償却・償却控除前利益)が、前年比86%増の6億2100万ドル(約850億円)に達すると予測している。
アジア地域では2022年に、シンガポールグランプリなどの世界的イベントが連続して開催され、同社のシンガポール発着のフライトは4倍以上に増加した。「アジアから欧州や米国に向かうフライトは、当社の顧客にとって非常に重要だ」と、同社の創業者で会長のトーマス・フローア(62)は語る。
ビスタのアジア地域での成長を支えるのは、ここ最近導入を進めているボンバルディア社の世界最大のビジネスジェット「グローバル7500」だ。1万4000キロの航続距離を誇るこの飛行機は、シンガポールからサンフランシスコへの直行便にも使われている。
ビスタは現在360機以上を保有しているが、その半分以上がボンバルディア製で、そのうち10機以上がグローバル7500だという。アジアでの需要に対応するために、同社は2022年の年末までにさらに3機のグローバル7500を追加する。「中国が新型コロナウイルス関連の制限を解除すれば、成長はさらに加速するはずだ」とフローアは話す。
同社は、世界の国々で富裕層が増え続けていることの恩恵を受けている。クレディ・スイスが9月に発表したグローバル・ウェルス・レポートによると、2021年の世界のミリオネアの数は前年比9%増の6250万人に達していた。
ニューヨークを拠点とする投資会社ローヌ・キャピタルの共同創業者のスティーブン・ラングマンは、「ビスタのサービスに対する需要は、あらゆる大陸で急増している」と語る。同社は2017年にビスタの株式の7.5%を1億5000万ドルで取得し、その際の評価額を25億ドルとした。また、その翌年に2億ドルを追加投資した。
ビスタの創業者のフローアは会社の85%を保有しており、残りの株式はローヌ・キャピタル、ジェフリーズ、Clearlake Capitalらが保有している。