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2022.12.26 11:30

パタゴニアが再び日本酒を発表 スギの木桶で仕込んだ自然酒

(左から)仁井田本家の「しぜんしゅ-やまもり」、寺田本家の「繁土」/ Taro Terasawa(C)2022Patagonia, Inc.

昨年末、「なぜパタゴニアが?」と話題になったパタゴニア プロビジョンズの日本酒。12月8日に、待望の第二弾として2商品が発表された。

寺田本家(千葉県)からは、昨年の「五人娘」をアップデートした純米酒「繁土(ハンド)」が登場。そして、新たに仁井田本家(福島県)から「しぜんしゅ-やまもり」が加わった。どちらも自然酒ならではの甘みや深みがあり、心地よく身体になじむような日本酒だ。

精米歩合85%の「やまもり」


2012年からは食品事業「パタゴニア プロビジョンズ」を手掛けるパタゴニア。環境を再生するような生産農法にこだわったシーフードの缶詰やオーガニックスープ、ワインなどを販売してきた。その背景には、1973年の創業以来貫いてきた、「地球環境を守る」というミッションがある。

今回、新たに参加した仁井田本家は、パタゴニアが推奨する環境再生型有機農法である「リジェネラティブ・オーガニック(RO)」の認証取得を目指して協働している酒蔵だ。ROは、農地の土壌をただ健康的に保つのではなく、土壌を修復・改善しながら自然環境の回復に繋げることを目指す農業のことである。パタゴニア プロビジョンズ・ディレクターの近藤勝宏によると、昨年からアプローチを続け、今回やっと商品化が実現した。

「日本の田んぼを守る酒蔵になる」というミッションを掲げ、無農薬・無肥料の米で仕込む仁井田本家。これは、パタゴニアのミッションとも共通する。


仁井田本家 十八代蔵元の仁井田穏彦 / 提供:新井田本家

仁井田本家の酒蔵がある福島県郡山市田村町は、阿武隈川水系や溜池の恩恵に預かり、水が豊富な土地だ。広大な山林と田畑を管理しながら、約300年にわたり天然の水だけで酒づくりをしてきた。

今回コレクションに加わった「しぜんしゅ-やまもり」は、麹米、掛け米ともにすべて自社田で栽培した「亀の尾」を使用。米は、できる限り余計な人の手を入れずに育て、なるべく磨かずに精米歩合85%にとどめた。

また仕込みは、自社山で伐採・間伐・植林の循環が途絶え、手付かずのままとなっていた80年生のスギで木桶をつくり、これを使って行った。十八代蔵元の仁井田穏彦によると、多孔質なスギの木桶で仕込むと、自然の酵母や乳酸菌が活発に働き、複雑で奥行きのある自然酒ができるという。

「昔、祖父が植えてくれた木を使って自分たちで木桶をつくる。それは山を“守”って水を“守”るということ。そして、このお酒は味わいも楽しみ方も多様で山“盛”り、という2つの意味を込めて『やまもり』と命名しました」


提供:新井田本家
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文=堤美佳子 編集=田中友梨

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