Tips3. バックグラウンドを最大限に活かす
サラ・ワカは自らのバックグラウンドと仕事を活かして、日本とヨーロッパをつなぐ「最短の架け橋」でありたいと語る。それを体現したプロジェクトに、ニンテンドー・イタリアによる依頼『Nintendo Switch』のプロモーション動画の制作がある。
「当時イタリアでは一般応募者の約100人が賞金をかけ、体を張って数々の難関に挑むビートたけしのバラエティー『風雲!たけし城』が人気でした。150以上の国・地域で放送されたほど世界で大ヒットした番組だったので、ニンテンドー・イタリアに同じようなイメージでプロモーション動画をつくってみようと提案しました」
そこで考えたのが、ゲームの支配人役の日本人とゲストのイタリア人が、Nintendo Switchで勝負をするという設定だった。企画が通るとニンテンドー・イタリアの社員から「君が日本人役として動画に出るんだ」と言われ、自らも出演することに。「はじめは制作に集中したくて出演は他の人にお願いしたいと考えていたのですが、これも挑戦の1つだと考え、渋々引き受けました(笑)」
自らがプロデュースした Nintendo Switchのキャンペーン動画に出演するサラ・ワカ
完成した動画では、サラ・ワカが日本の赤いジャージにはちまきを巻いた姿で元気に登場し、イタリア人とNintendo Switchで遊ぶ。まさに、彼女だからこそ実現できたプロモーション動画だと言えるだろう。
「イタリアにいながら、日本のブランドから声がかかったことは嬉しかったです。まさに自分のカルチャーと生まれ育った異国の地のシナジーが生まれた瞬間だと感じました」
「最短の架け橋」になるためにはさらに日本の文化を勉強しなければと考え、以前よりも日本を訪れるようになった。コロナ禍に住民票を日本に移すなどして自らのルーツを深堀る努力を続けている。
Tips4. 夢は、朝も昼も見るものだ
さまざまな人との出会いや周囲の提案を受け入れることで自らのキャリアを拓いてきたサラ・ワカ。諦めることなく夢を見続けるために、大事にしていたことがあったという。
「夢は夜(一時的)に見るのではなく、朝も昼も見続けなければなりません。考え続けて、口に出し続けて、いろんな人に語り続けるものです。そして、忘れてはいけないのは、夢を見ることと失敗することはセットになっているということです。失敗から得た学びが、少しずつ自分を夢へと導いてくれます」
「やりたいことが見つからない」という悩みを持つ人には「環境を変えて、自分の世界を広げるべき」と語る。「手っ取り早いのは海外に行き、新しい言語を学ぶことです。いろんな人と話せるようになると、新しい価値観を得られるし、人から得られるチャンスも増えます」 。
(写真=Lodovico Colli di Felizzano)
彼女は現在も、短期的な目標と中長期的な夢を描く。
「来年、日本の企業とメタバースのプロジェクトをローンチすることが決まりました。私自身いつか挑戦してみたいと思っていた領域だったのでとても楽しみ。江戸の町をメタバース上に構築する『Edoverse』というプロジェクトなのですが、ここでも日本とヨーロッパの架け橋としての役割を果たしていると実感しています。ほかにも、大阪万博などの仕事にも挑戦し、架け橋になれる仕事を増やしたいですね」
これまで彼女にやってきた多くのチャンスは、全てが「ラッキーボール」だったわけではない。チャンスに出会う力と掴む力は、彼女の「まずはやってみる」行動力があるからこそ生かされるのだろう。夢を語り続け、アクションを起こす重要性をサラ・ワカのキャリアから学べる。