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2022.12.21

航空機脱出「90秒ルール」に疑問符 米国人の体型変化などで

Matej Kastelic / Shutterstock.com

米連邦航空局(FAA)は1960年代、乗客が航空機から脱出するのに要する時間を90秒以内とする規制を初めて導入した。それから半世紀余りでさまざまなことが変化したが、その中でおそらく最も大きな点は、米国の成人の身長が数センチ伸び、体の幅も十数センチ広がり、体重は10キロ以上増えた一方で、機内の座席スペースは縮小したことだろう。

過去20年間で、平均的な航空機の座席の幅は47センチから43センチへと縮小。典型的な座席配置での足元のスペースは76~81センチで、多くの成人にとって窮屈な状態となっている。

FAAが今年、座席スペースについて一般から意見を募ったところ、2万6000件以上の苦情が殺到。航空便利用は「快適ではない」との意見が3708件も集まったほか、「狭苦しい」は1842件、「窮屈」は1203件、「すし詰め状態」は1100件だった。

タミー・ダックワース上院議員(民主党、イリノイ州選出)は今月、長年変化していない安全性規則についての透明性向上をFAAに求める法案を提出した。

FAAは2019年から20年にかけ、現在の旅客機が「90秒ルール」を満たしているかを確認するべく一連の試験を実施したが、ダックワースによると「試験の条件は完全に非現実的だった」という。試験に参加した乗客は60人のみ。全員が60歳未満の健常者で、チャイルドシートから抱き上げる必要がある子どもや、足が弱い高齢者、障害者、英語を話さない人は含まれておらず、転倒を誘発する荷物や充電ケーブルなどの障害物もなかった。

ダックワースによると、法案はFAAが評価試験を行う際に「現実世界の状況に非常に近い可変要素」を含めることを要求する内容で、国内の主要な操縦士・客室乗務員の労働組合や、退職者・子ども・障害者の擁護団体、「ハドソン川の奇跡」を起こした英雄として知られる元機長のチェスリー・サレンバーガーの支持を得ている。

forbes.com 原文

編集=遠藤宗生

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