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2023.01.04

なぜコミュニティ領域が「アツい」のか、ブランディング支援で感じる次の潮流

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3. オープンSNSからクローズドチャットへ


最後に、空間について。

TikTokはいろんな意味で革命的なプラットフォームだと思うが、「興味本位のアルゴリズムSNS」を発明したことで、SNSのあり方が変わってしまった。InstagramやTwitterなどもフォロー / フォロワーという人間関係が弱くなり、バイラルコンテンツがより流通するようになった。ソーシャルネットワークというよりも、YouTubeのようなユーザー発信によるオープンメディアになりつつある。

「世の中は振り子」だというように、何かが流行ればその次には逆の特性を持ったものが求められる。オープンなSNSの浸透によって、逆に仲間同士の関係性を育みたいという欲求が生まれてくるだろう。

文脈に関係なく、いきなり批判や悪口が飛んでくる場というのは、投稿のリスクが高く、心理的安全性が低い。現在、ビジネスおじさんたちを中心にFacebookがコミュニティとして逆に盛り上がってきてる(ように感じる)のは、自然な流れともいえる。

オープンへの反動として、関係性がわかっている人しかアクセスできない、クローズドで安心できる場を人は求めるようになるだろう。

外部の第三者が検索しても見つけられない、招待制のDiscordなどのオンラインコミュニティもまさにそういう欲求の受け皿になっていくだろう。

実際、先日会った17歳のラッパー高校生はDiscordで仲間たちとサイファーをしてるといっていた。Twitterだと機能的にも使い勝手が悪く、精神的にも炎上リスクが高いので使えないと。その感覚が新しいなと思った。

価値観が共有できてる人だけに開かれた、プライベートな居場所なのだ。プライベートであるから滞在時間が伸びていく。Googleの広告化に成功したマリッサメイヤーの発言を借りれば、「ユーザーの滞在時間が長い空間には、必ず広告ビジネスが生まれる」。ここで最初にご紹介したマーケティングの話とつながってくる。

大きな流れにコミットする


以上が、極めて個人的な見立てのもと、「コミュニティ」がキーワードになっている3つの理由だ。大事なのはその言葉自体でも、細かな設定の正しさでもなく、大きな流れとしての潮流だ。

ベストプラクティスが出る前だからこそ、飛び込む価値がある。コミュニティを制するものが勝つ時代がやってくる。いま僕が経営するニューピースでも、コミュニティ領域をドメインとして様々な事業にチャレンジしている。次回はその話を書いてみたい。

連載:デジタル社会の新コミュニティ論

編集=安井克至

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