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2023.01.04

なぜコミュニティ領域が「アツい」のか、ブランディング支援で感じる次の潮流

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「コミュニティ」と聞くと、どのようなことを思い浮かべるだろう。地域のつながり? 趣味の仲間? ファン? 宗教? どれも正しい。しかし今後は、そのイメージは大きくアップデートされていくんじゃないかと思う。

僕は普段、ニューピースという会社で、さまざまな会社や事業のブランディングを支援している。多いのは上場前後のスタートアップや、大企業の新規事業。新たなビジョンが必要なフェーズで、ビジョンの開発からそれと一貫したコミュニケーション戦略や施策立案を専門にしている。

そのような仕事をしている中、「コミュニティ」という言葉が交わされる頻度が、加速度的に高まってきているのを感じている。果たしてこれはバズワードなのだろうか。それとも何か新しい潮流なのか。

そもそも世の中で何かの言葉を使う回数が増えるということは、その言葉そのものよりも、背景として何かの変化が起きている、あるいはその期待があるということだ。

僕が仕事をする中で感じることをあえて言語化することで、その正体に迫っていきたい(異論反論、大歓迎です)。

1. マーケティングは「刈り取り」から「育成」へ


まずはお金の流れについて。

以前いわれていたことだが、広告やマーケティングを取り巻く環境は様変わりしつつある。人口が増える時代はとにかくコスパ訴求によるプロモーションで、新規ユーザーを振り向かせ、刈り取っていくのが最強の方法だった(あえて「刈り取り」と表現しています)。広告代理店の多くのビジネスはまだその発想の中にあり、テレビもGoogleもSNSの広告も、基本的にはその構造を支えている。Reach is king.

しかし、人口が減る時代では、その方法だけでは成長し続けられない。周りのブランドを見ていても、一定までは刈り取り広告で成長できるが、途中からユーザーの認知度とロイヤリティが乖離してくる。ロイヤリティがなければ、自発的なクチコミが生まれない。

いわゆる広告出稿という燃料がなくなると接点がなくなってしまうのは、ブランドにとって危険な状態なわけだが、そのときに切り札として出てくるのがコミュニティだ。

ユーザーをファンとして育てる。モノやサービスだけでは愛着を持ってもらいにくいが、それを起点に周囲との関係性であれば増やしていくことができる。スノーピークの自社キャンプスペースを活用したコミュニティイベント「Snow Peak Way」などがわかりやすいが、体験を通じてモノ以上の思い入れを持つようになる。
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編集=安井克至

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