ビジネス

2022.12.27 10:00

2023年も厳しい冬は続く、次のフロンティアは3つの「バース」


「不況」というタイミングで起業する人は、良い意味で「変わった」人です。この決断は誰にでもできることではありません。だからこそ、そういった企業に私たちはたくさん投資を行います。スタートアップにとって、不況はチャンスでもあるのです。

──不況はチャンスなんですね。

もちろん、スタートアップ企業のライフサイクルを考えると、誕生して1年間で爆発的に伸びるということはありません。ベンチャーファンドでは、基本的に10年間や20年間という長い時間軸で世の中を見ています。

シクリカル(循環的な景気変動)という観点から見ても、不況と好景気は7年から10年ほどの間隔で訪れます。今回は新型コロナの流行によるところもありますが、ずっと悪化したままではないし、金利を上げたことで一時的に景気が悪くなっても、インフレが収束した、金利は下がり、市場に再びお金が流れるようになります。

今後しばらくの間、少々長い冬の時代が続き、スタートアップや投資はスローダウンしていますが、2025年や2026年には、もっとアグレッシブなことが起きるのではないかと考えています。もちろん、政権交代といった外的要因も絡んでくるので、絶対とはいえませんが。

現在、米国のGAFAのような巨大企業、新型コロナの時代を代表する銘柄であるZoom、日本国内でもメルカリやSaaSの企業でも80〜90%ほど株価が下がってしまっている状況であるため、ベンチャー企業にお金が集まらない、厳しい時期になっているのは仕方ないと思います。

米国で金利を上げたばかりだし、インフレが継続していることを考えると、出口はまだ遠い。とはいえ、ずっと冬のままということはないでしょう。世の常として、春は必ず訪れます。

「メタバース×○○」が新しい価値を生み出す


──厳しい時代にあって、無駄なぜい肉が削ぎ落とされ、筋肉質な企業が残っているように感じます。今後、どのようなことに挑戦する企業が生き残れるのでしょうか。

ベンチャー企業、つまり新しい産業は社会変革とインフラの変化を元に生まれます。今後10年の間に「来るだろう」と私たちは「メタバース」「グリーンバース」「マルチバース」の3つのバースに注目しています。
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文=渡辺まりか、編集=安井克至

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