馬は、草食→動力→肥料を生産する、再生可能なエネルギー
一般社団法人馬搬振興会・顧問の合田真は、アフリカで再生可能エネルギー事業を行う「日本植物燃料」代表取締役社長も務める起業家。「人と競合しなくて、草を食べて動力となり、化学肥料ではない馬糞が肥料にもなる馬は、優れた再生可能なエネルギー源に思えます。
今回『一般社団法人馬搬振興会』チームが、『ルート・ドゥ・ポワソン』で、フランスの馬車によって魚を運ぶレースに招待されたことで、馬搬技術だけでなく、馬耕で作った無農薬の米や日本酒や漆器など、『馬と共に創る日本の食と文化』を現地で紹介しマクロン大統領に献上する機会を設けることができました。日本が誇る伝統技術やラグジュアリーな価値感を世界の方々に伝えていければ、という長年の想いが実現して感無量です」と語る。
Kenichi Yamaguchi (studio Jamandfix)
目にも鮮やかな赤い馬装束を身につけて馬がパレードする「チャグチャグ馬コ」は、江戸時代から続く岩手県の華やかな祭り。無形民俗文化財に指定され、その福々しく涼やかな鈴の音は、環境省の「日本における残したい音風景100選」にも選出されている。「ルート・ドゥ・ポワソン」で、初めて目にしたフランス人の観客たちからは、「フランスの馬は、こんなに豪華に着飾ることがないから、本当に美しい!」と「très bien!」の連発に目を細めていたのが、一般社団法人馬搬振興会・代表理事の岩間敬。過去に英国馬搬技術コンテスト優勝や、欧州馬搬選手権に入賞するなど、世界を舞台に日本の馬搬文化を継承している人物。
「私は馬を切り口に、農林業に従事しておりますが、この社団法人を立ち上げた当初は、少ない人数で細々と活動していて、こんなに世界が広がるとは想像だにしていませんでした。しかし今回、馬を通して世界は確実に繋がっていることを確信できました!」
左から、一般社団法人馬搬振興会・顧問の合田真、一般社団法人馬搬振興会・代表理事 岩間敬、一般社団法人馬搬振興会・理事 山口昇
ルイ14世から利活用していた馬が、日仏交流の架け橋に
そもそも、日本とフランスは、遥か昔から馬を利活用してきた文化を持つが、ワイン文化が根付いているフランスでは、近年、葡萄畑で馬耕を採り入れるワイナリーも増えてきている。また、馬糞堆肥の活用により、BIO認証を取得して付加価値を高めるブランディングにも積極的だ。
「ルート・ドゥ・ポワソン」エグゼクティブ・オフィサーのRichard Durbianoは、フランスに於ける馬搬の歴史を語る。「ルイ14世は、牡蠣が大好きだったので、北フランスからパリのベルサイユ宮殿まで、毎日海産物を馬で運ばせ、王の料理人がとびきりの一皿を作った歴史がありました。この『ルート・ドゥ・ポワソン』は、2012年に一度は消失しましたが、世界的なパンデミックを乗り越えて、今年9月に再び開催されたことは、農業を営む家庭で育った私にとって、とりわけ嬉しく大きな意味を持つものとなりました。日本の『チャグチャグ馬コ』は、フランスで歓迎され、シャンゼリゼでのパレードが、皆の心に残る特別な時間になったことに感謝致します」
Kenichi Yamaguchi (studio Jamandfix)