華やかに着飾った馬が練り歩く江戸時代から続く日本の伝統行事と、フランスの「ルート・ドゥ・ポワソン」が手を結んだのには、働く馬を介して、持続可能な社会の実現が込められている。歴史から紐解かれた馬事文化が織りなすその全貌とは?
「ルート・ドゥ・ポワソン」エグゼクティブ・オフィサーRichard Durbiano
ブローニュからパリ凱旋門まで、魚を運ぶ壮大な競技会
「ルート・ドゥ・ポワソン」とは、1991年に始まったフランスの馬車競技大会。ドーバー海峡から水揚げされた魚を載せた馬車がパリまでの速さを競うレースで、かつて、輸送技術が整っていなかった時代には、乗り継ぎ地点で馬を交代させながら新鮮な魚を24時間以内にパリの卸売市場に運んでいた、フランスの伝統を伝える目的もある。今回は、フランス国内チームとヨーロッパの代表チームの計12チームに加えて、日本チームが初めて招聘され、壮大な歴史的レースが幕を開けた。
Kenichi Yamaguchi (studio Jamandfix)
今年の開催は、9月13〜18日。開催パートナーは、フランス政府に、協賛は数々のフランス企業が連なり、エリゼ宮殿料理長のギヨーム・ゴメスらが大会アンバサダーを務めるなど、華々しくスタート。一方、日本側は、JRAの補助を受けて、一般社団法人馬搬振興会が招待され、ドーバー海峡に面した港町・ブローニュからパリまでの300kmもの道を、馬車で魚を運ぶレースに出場。ゴールとなったパリでは、名誉委員長であるエリゼ宮のマクロン大統領へ魚を届けるというユニークなレース内容となった。
日本代表団は、過去にフランスやイギリスで開催された馬事大会での功績やフランスと日本との10年以上続く交流が認められて、大会で初めてヨーロッパ圏外からゲスト招待を受けた。ゴールとなった凱旋門からシャンゼリゼまでは、岩手県の「チャグチャグ馬コ」が練り歩き、映像と共にその報告会が、12月19日、東京六本木の国際文化会館で開催された。
馬搬振興会・理事 尾立愛子