シーズン限定のドリップを──
そのお客さんはいつもドリップコーヒーを頼む。筆者が以前、「好きなドリンクはドリップですか?」と聞くと、「本当はカプチーノが1番好きだけど、毎日味が変わるドリップで季節感を感じるのが好き」と言っていた。
スターバックスのドリップコーヒーの豆は、毎日異なる。特にクリスマスなど特定の季節では、シーズン限定豆のドリップが提供されることを知っていたのだ。
よくよく話を聞くと、その男性のお客さんは、自身の学生時代にスターバックスでアルバイトをしていたそうだ。その時、常連のお客さんがレシートにメッセージを書いてくれて、それが嬉しく、自分も客側になってからするようにしていると言っていた。
自分がやってもらって嬉しかったことを、今度は人生の後輩に繋ぐ──。
彼は「豊かなコミュニケーションの連鎖」を起こすことを実践している人なのだ。
そのレシートは、インク部分が色褪せつつあるが、今でも大切に持っている。
接客をする上で、このような経験はとても嬉しい。何より、感謝をこのような形で伝えてくれたことが、仕事の「やりがい」に繋がっていると感じる。