紛争下のコンゴで続く性暴力、ムクウェゲ医師が対処を訴え

デニ・ムクウェゲ医師(Photo by Kay Nietfeld/picture alliance via Getty Images)

コンゴ民主共和国では、支配の道具として性暴力を利用することは、過去の犯罪ではない。国連コンゴ民主共和国安定化ミッション(MONUSCO)は2020年、紛争に関連した性暴力(CRSV:conflict-related sexual violence)を1053件記録した。被害者は、成人女性675人、少女370人、成人男性3人、少年5人だった。うち177件は、2020年よりも前の年の犯行だった。

2022年には、コンゴ民主共和国で活動する専門家の国際チームが次のように報告した。「(コンゴ民主共和国では)著しく暴力的な性質を持つ紛争が続いており、レイプや性暴力の事例が発生している。その一方で同国政府は、当然の権利として受けるべき保護を、すべての市民に提供できずにいる。ヘイトスピーチや、暴力と差別を煽る呼びかけが、紛争を加速させている面もある」

そうした残虐行為は、犯罪が包括的な司法によって裁かれ、責任をとらされるようになるまで続くだろう。実際、過去の残虐行為が罰を受けない状況は、未来の残虐行為のリスク要因や予測因子になる。

ロンドンで11月28~29日に開催された「紛争下の性的暴力防止イニシアティブ(PSVI)」国際会議の期間中、世界的に著名な人権活動家である産婦人科医デニ・ムクウェゲ医師が、英国貴族院の特別会議に出席し、コンゴ民主共和国における紛争下の性暴力に対する裁きと説明責任の必要性を訴えた。コンゴ東部出身のムクウェゲは、ノーベル平和賞も受賞している。

ムクウェゲが指摘しているように、コンゴ民主共和国は30年近くにわたって、度重なる侵略戦争と紛争の連鎖によって社会が引き裂かれており、その結果として、世界でもとりわけ深刻な人権危機が生じている。多くの人が殺され、女性がレイプされ、膨大な数の人が住む場所を追われている状況だ。
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翻訳=梅田智世/ガリレオ

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