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2022.12.27

マスクの右腕だった男が狙う「EVバッテリー市場」の覇権

T. Schneider / Shutterstock.com


ビル・ゲイツやベゾスから資金調達


レッドウッド・マテリアルズは、フォードやフィデリティ、ビル・ゲイツのブレイクスルー・エナジー・ベンチャーズ(Breakthrough Energy Ventures)、アマゾンのクライメート・プレッジ・ファンド(Climate Pledge Fund)などから10億ドル以上を調達している。同社は、サウスカロライナ州のキャンパスとネバダ州の生産施設への投資額である46億ドルを賄うために追加調達を行う予定だが、ストラウベルは詳細を明らかにしなかった。

関係者によると、レッドウッド・マテリアルズがキャンプ・ホールへの投資計画を全て実行した場合、サウスカロライナ州や地元政府から約9億ドル相当の優遇措置を受けられる可能性があるという。

同社はまた、エネルギー省が先進技術自動車製造にインセンティブを与えるプログラム(AVTM、Advanced Technology Vehicles Manufacturing Incentive Program)の一環として提供する低利融資に申請することもできるが、まだ行っていない。同省は今週、GMとバッテリーパートナーのLGエナジー・ソリューションズが、オハイオ州、テネシー州、ミシガン州に建設中の3つのセル製造施設の費用をカバーするため、25億ドルの融資を受ける資格を得たと発表した。

テスラは、ATVM融資を使って2010年にカリフォルニア州フリーモントにあったトヨタとGMの合弁工場の跡地を購入し、最初の工場を建設した。ストラウベルは、イーロン・マスクとともに2004年にテスラに入社し、2019年にレッドウッドを立ち上げるために退職するまでCTOを務めていた。

業界のリーダー的立ち位置を確保


ストラウベルは、サウスカロライナの施設で生産するアノード材とカソード材の買い手となる自動車メーカーやバッテリーメーカーについては言及を避け、後日提携先を発表すると述べた。チャールストンは、多くの新しいバッテリー工場に近いことに加え、港や鉄道、トラックなどの輸送網へのアクセスの良さが魅力だ。

ストラウベルは、リチウムやコバルト、銅、ニッケルなど、バッテリーの製造に必要な金属が世界的に供給不足であることを受けて、レッドウッド・マテリアルズの設立を思い立った。同社は当初、使用済みバッテリーのリサイクルに重点を置いていたが、現在ではクローズドループの生産オペレーションを構築し、回収した金属とコモディティメタルの両方を使ってアノード材とカソード材を生産することを目指している。

アノード材とカソード材の生産では、レッドウッド・マテリアルズのネバダ州とサウスカロライナ州でのプロジェクトを上回る計画を発表している会社はまだ存在しない。

「私が知る限り、我々が業界のリーダーであり、他社を大きくリードしている。しかし、今後は他社からの発表が増えていくことは間違いない。最終的に需給のバランスをとれるようにならなければならない。100ギガワット時相当のバッテリーセル生産計画が発表されるたびに、誰かが米国内でサプライチェーンを構築する必要があるが、現状はバランスが大きく崩れているのが実情だ」とストラウベルは語った。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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