サンタが街にやってくる、北極から大寒波を連れて

2022年クリスマスイブの最高気温と平年との差(NOAA/NWS)

この週末にはハヌカー(ユダヤ教の祭り)のシーズンが始まり、米国の一部では冷たい冬を経験している。しかし、米国の中央と東部の一部では何も起きていない。クリスマスが迫り、多くの子どもたちが北極からの訪問者を待ち焦がれている。今年のクリスマスは、その北極からサンタ以外にも何かがやってくる。それはここ数年で最も冷たい空気だ。

米国立気象局(NWS)や複数の気象学者が警鐘を鳴らしている。NWS気象予報センターは上のグラフと警告をツイートした。「寒冷な北極気団が今週急速に南下し、危険な低温と風によって米国中央・東部全体に寒気をもたらします。ホリデーショッピングを終えたら、寒さから身を守る準備を始めましょう」。上の図を見ると、米国におけるクリスマスイブの最高気温は平年より10~30°F(約6~17℃)低い。アトランタでは、最高気温が零度を超えないかもしれない。フロリダ州のマイアミやオーランドといった場所でも平年よりかなり寒くなりそうだ。

引退した(伝説の)サウスカロライナの気象学者ジム・ガンディーは自身のSNSに、今週寒気の波が何回か訪れるが、それは前触れにすぎないと書いている。本番はクリスマスウィークエンドだ。「最も寒い朝は、土曜日(クリスマスイブ)になりそうです【略】風により体感温度は5~10°F(3~5℃)くらい下がるでしょう」とガンディーは述べ、さらにこの時期がこの冬一番の寒さになるとも予想している。「過去5年間で一番の寒さになるかもしれません。昨冬の最低気温は19˚F(約マイナス7℃)でした。それより低い温度の記録は2018年(14°F、約マイナス10℃)まで遡らないとありません」


極渦の仕組み(NOAA)

気象学的には何が起きているのか? まあ、冬なので12月後半が寒くなることは予想されていたが、今回は非常に危険な温度だ。説明の中に「PV」という恐ろしい単語がでてくる。そう、これから私はPolar Vortex(極渦)の話をしようとしている。

NWS気象予報センターの天気概況によると「西海岸近くの海嶺軸上部とグリーンランドおよびカナダ北東部の強力なブロッキング高気圧の影響で、極渦が途切れて南に向かい米国中北部に流れる可能性があります。そしてこれは、ロッキー山脈東側の多くの地域にこの冬で最も寒い気団がやってくる前触れです」。解説はさらに、週の終わりにはサイクロンも発達し降雪、強風、降雨を東海岸機地域にもたらすだろうと警告している。ちょうど先日、寒冷気候の専門家ジュダ・コーエンが、冬の気候に極渦がもたらす影響について、Weather ChannelのポッドキャストWeather Geeksの最新回で話していた。

南東部でホワイトクリスマスを期待している人たちへ。それは、住んでいる場所によって大きく変わる。ベテラン(伝説の)気象学者のジェイムズ・スパンが週末に下に貼った地図をツイートした。「ユーロ」モデル予測では、米国の大部分(ディープサウスの人たちごめんなさい)がホワイトクリスマスになりそうだ。雪に関係なく、予想気温は人間にもペットにも命取りになる恐れがある。水道や暖房のインフラが破壊的被害にあう可能性がある。今すぐ準備を始めよう。


forbes.com 原文

翻訳=高橋信夫

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