記念すべき25周年を祝し、最近トムにインタビューする栄誉を得られた(ちなみにトムの最新の著書は『Excellence Now: Extreme Humanism[卓越性の最前線:徹底した人間主義]』というタイトルだ)。ここでは、インタビューのハイライトをご紹介しよう。
(訳注:トム・ピーターズはベストセラー『エクセレント・カンパニー』の著者。1997年9月の記事「The Brand Called YOU」の登場によって「パーソナル・ブランディング」のコンセプトが世の中に認知された。このため今年2022年は「パーソナル・ブランディング25周年」と捉えられている)
──1997年に発表された記事には大きく心を揺さぶられました。今となっては当たり前に思えることばかりですが、当時は本当に過激でした。このパーソナルブランディングというアイデアはどのような経緯で思いついたのでしょうか?
当時はまったく違う世界でした。もしあなたが当時、HP(ヒューレット・パッカード)の33歳の社員で、私の近隣に住んでいたとしたら、33年後にHPを退職することが普通の人生だったでしょう。そして、同期は「X年組」というひとくくりの名で呼ばれるのです。そこには個人名もなければ、個性もありません。そのとき私は「HPであれ、シティコープであれ、500人規模の会社であれ、今日の世界で競争するためには、個人が目立たなければならない。何かに立ち向かわなければならない。特別な存在でなければならない」と考えたのです。
会社のことではなく「あなた」個人のことを考えていたのです。特別な存在でなければ生き残れません。といっても何も極端なことをいっているわけではありません。次のスティーブ・ジョブズになれとはいいませんが、単に「X年組」のままではいられないのです。
──私がこの記事から読み取ったのは、パーソナルブランドとは、個々人の持つユニークで、本質的で、本物の、学習されたスキルや行動であるということです。記事では、洗濯用洗剤風のビジュアルを示して「選んで買ってもらえるように、何かで世界を『納得』させよう」と呼びかけていました。それについて少しお話いただけますか?
実は納得させるかどうかが問題ではないのです。今はもっと大きな声でいっていますが「最高のネットワークが勝つ」ということなのです。そして、いまや卓越性とは、もはやハシゴを登りを競うような垂直的な卓越性ではなく、誰もがあなたをチームに迎え入れようと争うような水平的な卓越性なのです。これが決定的に違うところです。そのために、他部門の人と知り合いになるのも1つの方法です。購買担当者なら、やはり経理に信頼できる友人が3人は欲しいですよね。