ビジネス

2023.01.01 13:30

伝説の著者トム・ピーターズが語る「パーソナルブランディングがあなたを救う」


──カスタマーサービスの新入社員と、マーケティング担当の副社長とでは違いがあるのでしょうか?

端的にいうなら、違いはありません。たとえばホテルに53人のハウスキーピングチームがいて、他の人を助けるスタッフが4人いるとします。あるレベルでは、呑気な副社長よりも、彼らの方が重要であるといえるかもしれません。なにしろゲストが最初に接する人はハウスキーパーなのですから。つまり、副社長よりもハウスキーピングスタッフの方が、ブランドを発揮する機会が多いのです。私のあなたに対する判断は、あなたのために働く人々の質に基いて行われます。パーソナルブランディングとは、信じられないほど良い仕事をし、友人を作り、その良い仕事に対して注目されることです。なおセルフマーケティングという言葉は好きではありません。

──現在のキャリアマネジメントツールの中で、もう意味がないものは何でしょうか?

それらはもう意味がないというよりも、パーソナルブランディングに関して私がお話したものが、今や支配的だということです。示すことができる仕事の質が大切です、たとえば500人規模の企業で、その分野のコーディングに精通している3人のうちの1人であることなどや、その他なんでも構いません。とにかく関係、関係、関係が大事なのです。

最初の例として挙げた「X年組」で必要だったのは、身勝手にならないこと、時間どおりにくること、そして自分の小さな部署にいる9人の同僚とうまくやることでした。でも、それではもう通用しません。私がこの1年半で学んだのは「Zoom」ミーティングでも、それをはっきりと見て取ることができるということです。

──『The Brand Called YOU』で語られたことと、最新刊『Excellence Now: Extreme Humanism』で語られたことの関連性をぜひ教えて下さい。

その関連性とは、私が40年間語り続けてきたことに他なりません。すなわち「People First(人間第一)」ということです。人間第一の戦略は、昔と変わらず今でも有効です。今後20年で、AIがすべての仕事を奪い去ることはないでしょう。『Extreme Humanism』の中で私は「人を大切にし、人を教育し、気候を温暖化させることを目指さない製品を作れば、その中で誇らしく生きて行くことができるのです」といっています。特に自分の国の中の分断を考えると、これまで以上にそうしたことが重要だと思います。私は経済モデルの点で論じているのではありません。27人規模の会社、270人規模の会社、あるいは2700人規模の会社で働くようになったときのことを論じているのです。そして私は、仲間の人間を助けるというすばらしい徳を持ちたいと願う人のために論じているのです。そして普通の人でも、AIの時代になってもそれを昔と同じようにできるのです。

最後に、トムの近刊『Tom Peters’ Compact Guide to Excellence(トム・ピーターズの卓越性へのハンディガイド)』からの引用で、このインタビューを締めくくろう。

「ハード(数字/計画/組織図)はソフトであり(扱いやすく)、ソフト(人/関係/文化)はハードである(難しい)」

forbes.com 原文

翻訳=酒匂寛

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