テクノロジー

2022.12.21 09:30

アップルは11年間で約1160億円寄付、結実する従業員のボランティア活動


プログラムの特徴は、その地域に根ざした非営利団体と協力していること。学校や社会にうまく馴染めない若者にアップル製品の貸出を行い、業界のプロフェッショナルから、制作に関するスキルを提供する。発表の機会も用意されており、このプログラムを通じて若手クリエイターを育て社会に羽ばたかせていくことが目的だ。

東京では孤独と闘う若者を支援する非営利団体「サンカクシャ」のメンバーが、写真と動画撮影のプロといっしょにコンテンツ制作を行う5週間のコースを開催。最後には、各参加者がクリエイティブワークを発表した。



サンカクシャは「生きていく意欲、何かに取り組もうとする意欲を失ってしまった若者へ丁寧に伴走し、サンカクシャの活動を通じて、若者が社会との繋がりを得て、安定した生活を送り、自分らしく生きていくことができるようサポートをしていく」ことを目的にする団体で、親や身近な大人を頼ることができない15〜25歳くらいまでの若者が孤立せず、自立に向かえるよう支援している。

7月5日、アップル丸の内で初開催された「Creative Studios Tokyo」では「写真とビデオ」をテーマに9名が参加。セッションは2部に分かれており、前半は撮影、後半はアップル製品を使って現像や編集作業を行い、作品を仕上げるという構成だった。

サンカクシャの創設者である荒井祐介さんはこのプログラムのことを「創造性の力によって、自分たちだけではこんなに短期間ではできないような変化が起こるのを目の当たりにして、信じられない思いでした」と語っている。本プログラム終了後、参加者のうち数人は正社員の仕事に就き、1人は学校に戻ることができたという。

プログラムにおいて、基本的な操作はApple Storeのスタッフがマンツーマンでサポートする。昔からクリエイティブシーンを牽引してきたアップルだからこそ、通常業務の中から社会に還元できるボランティアを行うことができるのだ。

アップルのような大企業がサポートし発表の場を与えることで、今後の活躍に繋がるクリエイターも多いだろう。単なる寄付に止まらず、継続的な社会との関わり方、社会の多様性を後押しするAppleのこうした活動に今後も注目が高まりそうだ。

編集=安井克至

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